10月のこと


 10月の上旬に,
以前書いていた「ノボリゾウ日記2」を停止し、あらたにこの「続々・ノボリゾウ日録」をはじめるまでのあいだ、横浜サムズアップで行なわれたリゼントメンツのライブに行ったり、関内ホール谷川俊太郎の詩の朗読とDivaの音楽を聞きに行ったりと、いくつかイベントを楽しんだ。その一方で会社の同僚に不幸があり、ひどく落ち込んだ週もあった。あるいは、風邪を引いてパブロンを飲んだら、延々と眠ってしまった日曜日があった。
 そんな日々のなかで、10月11日の十三夜に月見に行ったのは楽しかった。十五夜でなくて十三夜にも月見をするといったことがどこぞでむかしあったと、この月見をご提案くださったsay-gさんはおっしゃっていた。以下、11日のことをメモっておいたものを転記します。

『 10/11
午前11時、歯医者。歯石除去、下の左右奥歯。全て衛生士に委ねているのみ。かなり大変そう。十年以上ぶりの歯石清掃だからなあ。行きは小雨の中、傘をさしていく。帰路、雨上がっている。

読書中は吉田健一著「旅の時間」

EOS1N+EF24-105/4で茅ヶ崎漁港などを撮影。夕焼けがきれい。猫、漁船。月。このカメラとレンズは初めての使用。カメラはヤフオクで購入し、レンズは借り物。

夜、say-gさんと茅ヶ崎駅ビルの本屋で待ち合わせ。彼は岩波文庫のまえで待っていた。駅近くの熊やで一杯。それから、加山雄三どおりを歩いてヘッドランドビーチまで行き、月見。ハガさんも月見から合流。

熊や。戻りカツオ刺身、里芋煮っ転がし、銀杏いため、焼き茄子。美味しい。秋尽くしの感。初孫のぬる燗

月見は十三夜。十三夜の月見にもいわくが在るらしい。say-gさんに解説してもらったが忘れてしまった。ヘッドランドビーチのボードウォークに座り込み、午後から晴れ渡った澄んだ空にかかる月を見上げながら、成城石井で買ったSTONESというビールを飲む。フルーティな味がするという解説が書いてあり、本当にそうなのか?と思って飲んでみたら、まあたしかにそんな感じがした。ミックスナッツも食べる。月影は思いのほか明るくて、持っていた本も読めそうに思える。読めそうだが、試してみると、目を一生懸命こらして、ぎりぎりのところでやっぱり読めない。若い人なら読めるのだろうか?若い人とわたしくらいの年齢とのあいだで、目の感度とか解像度はだいぶ違うと聞いたことがある。久々再会のハガさんの近況などを聞く。いまはあまり写真を撮っていないとのこと。それから海沿いのサイクリングロードを西へ歩く。目を凝らすと波打ち際や海面に月の光が映り、さわさわと、決してぎらぎらではなく、動いている。波の音はしていたはずで、いま思い返すと無音のなかにいたように思える。
 サイクリングロードから平行に作られているボードウォークへ、数十センチの段差を上がろうとして躓く。左足の弁慶の泣き所をしたたかに打ち付ける。なぜ躓いたのか。右足はボードウォークに上がっていた。左足を上げようとしたときに、何かに引っかかったのか、それとも、上げる高さを見誤ったのか?その理由が判らず、なんだか少し怖い。
 漁港まで行き、写真を撮る。それからまたずっと駅まで歩いて、改札口でsay-gさんと別れた。』

10/29日は黒川創著「明るい夜」読了。この人の本を読むのは二冊目。いつもどこかにちょっと寂寥感を伴う。それが魅力なのだろう。

明るい夜 (文春文庫)

明るい夜 (文春文庫)