飛行船


 以前ほど飛行船を見かけなくなった。宇都宮線の車窓から眺めた空に浮いていた。今日じゃなくて、十日ほど前の写真。飛行船には有人と無人があるのかな?もし有人だとすると何人乗っているのかな?なんだか老操縦士と若い見習い操縦士が乗っていて、空の上から静かに〜だって飛行船は静かに浮上していることができそうだ〜地上を見下ろして、なにかぼそぼそと錬金術の話か何か、スパイの話か何か、中国茶の話か何か、していそうだ。ときどき見る、広告の飛行船は有人か無人か?有人なら何人乗っているのか?という疑問は、そういえば二十代のころからずっと疑問で、でもそれじゃあ調べてみよう、というエネルギーまでは生じずに、だからいまでも疑問なのだった。
 そういえば私が小学生のころには、セスナ飛行機が飛んできてビラを撒いたりしたものだった。あれって見上げる分には大量に撒いているようなのに、なかなか拾えなかった。いまはそういうのって違法なのかな?ビラにはバーゲンのお知らせとかが書いてあったのだと思う。アドバルーンもよく上がっていた。
 角田光代著「夜をゆく飛行機」読了。結構ホームドラマ風の小説が好きなんだな、私は。長嶋有の「夕子ちゃんの近道」とか掘江敏幸の「いつか王子駅で」とか。川上弘美の「古道具中野商店」とかもそうか。保坂和志の「カンバセイション・ピース」とかも設定としてはホームドラマかしら。日常は変わらないようでいて、変わる。
 今日の夕方、滅多に行かない町で、通りすがりにあった古書店で、金城一紀著「フライ、ダディ、フライ」、江国香織著「薔薇の木、枇杷の木、檸檬の木」、宮部みゆき著「理由」を、全部一冊105円で買う。はい、ずいぶんと流行作家ばかりを買いました。なんかいまは「楽しめる」本にありつきたいのです。疲れているのかなあ・・・

夜をゆく飛行機 (中公文庫)

夜をゆく飛行機 (中公文庫)