雨続く 鹿児島へ


 19日、阿蘇のホテルで目が覚めて、しばらく外の様子を見ていたときには雨は小降りになり空も、一面雲に覆われているものの、昨日の雲よりは明るいように思える。早朝6時の大浴場開始時刻と同時に朝風呂をつかい、朝食を取ってから、出発の準備。しかしその頃には再び土砂降りの雨。強雨になったり弱雨になったりの変化はあるものの、雨上がりやがて雲が切れるということには程遠いと思われる。雨の中、温泉めぐりにでも行こうか、hiro23さんに薦められた黒川温泉まで車で2時間もかからないだろうし、という案も考えるが迷うだけで踏み切れない。車の運転が嫌いだから、強い目的に促されないと頑張って運転する気にならないのだ。
 雨や霧のなか何も見えないだろう阿蘇に再び登ることもやめにして、早々に熊本市内に戻ることにする。熊本市内にある夏目漱石旧居を目的地設定して、ナビに導かれて車を走らせる。

 旧居では一時間くらいかじっくりと過ごす。

 熊本駅レンタカーに11時半過ぎに車を返却。鹿児島中央までJR九州リレーつばめ号で移動する。昨日のホテルで買ったドライトマトをときどき食べる。

 鹿児島に降りるとものすごく蒸し暑い。一昨日、熊本は30℃を越えたらしいがからっとして爽快だった。19日の鹿児島はそこまで気温が高くはないだろうがむしむししていた。鹿児島中央駅を降りて、右側の方の昔からありそうなアーケード街およびそれと平行にある商店街が見える。何か食べようと思い、そっちに歩く。夜は海鮮居酒屋みたいになるであろう店に入り、海鮮丼みたいなのを食べる。きびなご、まぐろ、等々が載っている。ご飯自体に甘い醤油がまぶしてある。850円だったかな、美味しい。カウンターの目の前にしつらえてある水槽ではナマコが這っている。
 街歩き地図を見ると、新幹線が付いた鹿児島中央駅とは別に、港に近い方に鹿児島駅があることがわかる。田中小実昌著「みなと港」に出てくるような昭和の香りの飲食街などがあるかもしれない。尾仲浩二の一連の旅写真みたいな枯れた風景があるかもしれない、などと思いをめぐらせ、駅近くの今日のホテル(東急イン、4500円だったか4300円だったか4600円だったかでツインを使わせてくれる)にチェックイン後市電に乗って終点の鹿児島駅まで行ってみる。小雨が降ったり止んだり。
 鹿児島駅は上記の「思いをめぐらせた」ような風景の名残がある感じだった。駅前のタクシープールとかその向こうの古いビルとか。しかし操車場だったのだろう駅に隣接した土地は駐車場とかになっている。桜島は雲に隠れて頂上が見えない(上の写真)。白い服を着て、高いヒールの靴を履いた若い女性が一人、そんなくぐもった光景の中で携帯電話をいじりながら誰かを待っている。タクシーの運転手は車を降りて暇そうになにやら話している。
 桜島に15分で渡るフェリーに乗ってみる。展望デッキに出ているのは私ともう一人の男性だけ。あとは日常の中でこのフェリーを使っている人たちなのか、二階の客室で時間を過ごしている。景色はみな曇天のグレーで、行きかうフェリーの青い色がきれいだった。渡った桜島では溶岩グラウンドという野球場とその奥にある溶岩がごろごろしている中に続く遊歩道を歩く。誰にも会わない。こんな遊歩道で何かが、野犬とかあんちゃんとかヤンキーとかが現れたら怖いだろうなあ。鳥の声がきれい。

 再びフェリーに乗り、適当に道を選びつつ、途中で鹿児島名物黒豚のロースとんかつ定食を、たまたま見つけた古いビル地下にある食堂街のとんかつやで食べた。特ロースにしたらものすごい量だったが、ジューシーなのに腹にもたれない。もしかしたら適当に入った店なのに大正解の店だったのか、それとも黒豚とんかつというものは総じてこうも美味いものなのか?ご飯残してしまった、すいません。(味のとんかつ丸一という店でした。後日調べると、結構人気店みたいでした)
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駅近くのアーケード街のふとん屋さん?


フェリー乗り場で


フェリーからの風景。無彩色です。静かです(って、もちろんエンジン音とかはしていたのだろうが、気分も含めて淡々として・・・)


桜島は雲の中だったけどフェリー乗り場にはジオラマがあった。この噴煙、すごいですね。