新緑の蜂起


 京都駅のISETANにある美術館で植田正治の写真展をやっているというので、亞林さんとTと私の3人で鑑賞に行く。

 午後は東山の和風のカフェ「好日居」に行き、壊れた陶器などの修復をする古くからの技法である金継の実演を見学する。

 夜は百万遍あたりの居酒屋。亞林さんオススメの名古屋の地酒「醸し人九平次」をちょこっと飲む。フルーティで美味しい。

 1980年ころに東急田園都市線市ヶ尾あたりに住んでいた。電車に15分だったか20分だったか乗っていると二子玉川園(ニコタマ)に行けた。当時、ニコタマの東急百貨店の中だったと思うが、ポスターや額を売っていた店で写真家のオリジナルプリントを売っていた。いまでも写真作品の流通は日本では成り立っていないいようだが、今から30年前にオリジナルプリントを売ろうとしていたあの店はなんだったのか?数年後にはもうオリジナルプリントを売るのはやめてしまっていたようにも思うのだが・・・。
 その店で、どういう話を店員さんとした結果だったのか、何も覚えていないのだが、植田正治オリジナルプリントを見せてもらったことがあった。いやーホントかな?もう記憶の彼方で、今から思うとにわかには信じられない気もするのだが・・・。しかも値段も10万だったか12万だったかそれくらいだったような。
 買うことは出来なかったが、そのプリントのグラデーションの美しさに圧倒されたことだけはよく覚えている。写真に何が写っていたかももう覚えていないのだが、曇天の空のグラデーションだったのかな感激したのは。そんな気もする。
 京都で見た植田正治展、やはり私は童暦のシリーズが一番好きだったが、小さい日記や風景の光景も同様に良かった。私が好きなシリーズは、砂丘での初期作品や後期の砂丘モードなどの演出写真とは離れていて、ある程度は演出していても基本的にはスナップのシリーズだと認識している(間違っているかもしれない)。しかし面白いのはスナップにもかかわらず演出写真で目指したような画面構成や省略に相当する被写体(あるいは瞬間)の選び方や画面構成が見て取れて、演出だろうが非演出だろうが植田調が通底しているということなのだ。あー、なんか、誰もが言っていることを再確認しているに過ぎないんだけど。

 上の写真は居酒屋を出たあとに出町柳駅近くの住宅街で撮ったものです。何か植物のふりをした動物みたいじゃない?