夜風


 夜、家族で外食。蟹なぞ食べる。私だけ自家用車に同乗せずに自転車で移動。ときどき、自転車を停めて、自転車にまたがったままコンデジで写真を撮る。夜風が気持ち良い。いまは猛暑で、真夏のピークの季節だが、既に夏至から五十日近くも過ぎていて、昼の時間は短くなっている。どんどんと。そう考えると、気持ちの良い夜風が、夜の南風が、既に秋の気配を届けているようにも思えるのだった。しかしこんなのは「夏至を過ぎている」という知識によって、そう考える(秋の気配を届けていると考える)こともできるという誘導があって、しかもその「考え」自体がひどくありきたりで、要するに動物的な知覚の結果ではない、いつわりの気配なのだろうな。でもそんなことを言い出したら、すべからく何の判断にも知識が付きまとうから、それを「いつわり」などと言ったら、いつわりでない感覚など都市に生きる人間には残っていないことになるのではないのか。ただ、単純に、夜風が気持ちよい、と思っていればよいのだ。秋の気配などと勝手なことは思うべからず。

 キリンの「世界のキッチンから」シリーズ、数年前の夏商品だったマセドニア・グレープなんかは大変に美味しくて見つけると買って飲んでいた。数日前に会社で、知らない誰かがソルティ・ライムとか言うのを飲んでいるのを発見し、とにかくそいつを飲んでみたい!と思った。以降、出張の移動中などに、コンビニエンスストアを見つけるたびに入店してソルティ・ライムを探すのだが、運悪くなのか、行き当たらない。セブンでもローソンでもサンクスでもスリーエフでも、会社内の売店でも、私の入ってみた店舗には置いていなかった。家で、「ないないないない、飲みたい飲みたい飲みたい」と呟いていただろうか・・・
 今日、娘からメールが来て学校の売店に売っているという。そして、娘はソルティ・ライムを一本、学校で買って、家に持って来てくれたようで、私が帰宅したら冷蔵庫の中に冷してあった。ありがたや。