雨が降る


 金曜からだったか、いや、木曜の夜からだったか、冷たい、雪も混じった雨が降っている。今年の冬は寒くて、気温だけを見ていれば、冬らしい冬ということになるのかもしれないが、南関東の冬は西高東低の気圧配置のときには快晴が続くはずで、だから気温ではなくて、空模様からすればいつもの冬らしくはないではないか。出来上がった写真からすれば雨の日や曇りの日に撮ったものでも、あとから気に入る場合もなくはないが、散歩気分のスナップで、もしかしたら平日のストレス解放にも無意識につなげているのかもしれない行動パターンからすると、晴れていないと気分が乗らないというのが、まあ大抵はそういう気持ちなのであります。第一に寒いのが嫌いだし、輪をかけて天気もぱっとしないのだから余計いけない。
 年末から佐藤春夫の自薦短編集とかを読んでいるが、ページがなかなか進まない。ほかにも何冊も読みかけの本があるに違いないが、いまパソコンに向かってこうしてブログを書いているときにはどんな本が読みかけで止まっているか思い出せない。
 先週はもっと気楽で楽しくてさささっと読み終われる本で、晴れないせいで重く沈みがちな気持ちが晴れるかもしれないと、流れ星が消えないうちに(橋本紡)、戸村飯店青春100連発(瀬尾まい子)、完全なる首長竜の日(乾緑郎)、続・森崎書店の日々(八木沢里志)、と4冊の本を読んだ。なるほど、こういう本だとだいたい3日で2冊くらいは読み終わるのですね。読んでいるときはそれなりに面白いし、読み終わったらさらっと忘れてしまった。いやいや、若い読者であればそんなにすぐに忘れたりしないし、きっと心に残る大事な本になったりもするのだろう。
 ザ・バンドの「アイランド」というアルバムは、レコード会社との契約を守るために、ほとんど解散状態にもかかわらずやっつけ仕事でごまかして作った駄作である、という評価が当時からずっと言われている。Rロバートソン自身がそう言っていたとか?そういうい固まった評価があるのだけれど、私としては、南十字星ザ・バンド(2枚目)、とともにこのアルバムは大好きなのだ。というのは、十八か十九才くらいのころに、最初はNHKFMが昼時に一時間、一週間単位で取り上げるバンドを変えながら、毎日アルバムを流していた番組でザ・バンドを聴いてからよく聴くようになったのだが、リアルタイムで彼等の新譜を新譜として待ちに待って買いに行き、わくわくしながら針を下したというリアルタイムにザ・バンドを聴いたのは、南十字星、と、アイランド、だったからだろう。そしてアイランドを聴いていた夏にはいろんなことがあって、そういう個人的な(特にハイティーンのころの)出来事にまつわりついている音楽ほど懐かしくも大事なものはない。
 でもいま冷静に聞いても、このアルバムは「駄作」とは思えないけどなあ。。。

 今朝、日曜の朝、7時過ぎにコンパクトデジタルカメラを持って近所を一回り散歩してきた。どんよりとした寒い朝だったが、窓を開けたら丹沢山系に雪が積もっているのが見えて、自分が高校生だったころにはいつも冬の丹沢には雪があったように思えるが、それだって不確かで、雪のある丹沢の風景だけが記憶に残ったせいで、いつでも雪があったように思えるのかもしれない。ともかく丹沢に雪があったので、その景色を見ようと思って、少し見晴らしの良い田畑地帯まで、家から徒歩15分くらい行ってみた。月もそうだけど、山も、そこに注視していると大きく見えていて、だからカメラを向けたときに目で見たときよりもカメラに写る画角の中に占める月や山は意外にも小さくてがっかりする。すなわち注視しているきれいなものは大きい。実際の大きさより大きく見えるそっちの大きさが人が見ている本当の気持ちを通した大きさだろう。
 だから見晴らしの良い畑に行ってカメラを向けたら丹沢は小さかった。ところで丹沢からさらに南へ目をやると、最初は気が付かなかったのだが、雲の中に雲が全体として横方向に流れていく中に、違う方向の「線分」が、よく見ると見て取れた。それはどうやら富士山なのだった。富士山も見て感じるようにカメラには写らなくて、小さい。めったに使わないのだが、コンデジのズーム機能でテレにしたが、私のコンデジは35mmフイルム換算で約100mmにしかならない。
 それでも富士山を撮って、結構トリミングしてみたのが上の写真です。富士は雲よりずっと白く輝いている!

 暮れる前に、太陽はこんな風に(下の写真)頼りなげで、サッシの窓も開けないで部屋の中から写真を撮りました。

 今日の日曜日は、ニセアカシア3号のための写真セレクトをずっとやっていました。

アイランド

アイランド