THE TOKYO ART BOOK FAIR2012


 上の写真はTHE TOKYO ART BOOK FAIR2012とは関係ありません。函館山ロープーウェイの窓から撮った夜の森です。スローシャッターでぶれています。

 21日金曜から23日まで外苑前にある東北なんとか大学と京都なんとか大学の(ともに藝術大学)サテライトキャンパスという位置づけなのでしょうか?「外苑キャンパス」というところで開催されたこのフェアに、ニセアカシア発行所として今年初めて参加してみました。ニセアカシアやここまでニセアカシアで作ってきたzine(とはいえほとんど、いや、100%は松本さんの労作)を展示販売しました。当然、店番を誰かにたくして順番にほかの店を見てくることもできました。
 それで3日のあいだにずいぶんたくさん写真集を買ってしまいました。
 金曜日には写真家尾仲さん率いる街道のブースで鈴木郁子写真集「秋田青森・思惟」「新潟小樽・浮遊」を購入しました。今夏の宝塚メディア図書館のzine book galleryでこの方の出品作品がとても気に入っていたので、同じ作者の本に出会えて驚きました。さらにご本人ともお会いでき、お話しました。師匠の尾仲さんの旅烏とか股旅とか、そんな単語が浮かぶような昭和チックなあてのない旅写真に「情感」が漂います。作者の鈴木さんは大阪でギャラリー美0と飲食店とを営業しているそうです。こんど大阪に行くことがあったらお邪魔したいと思っています。
 ニセアカシア発行所の隣のブースは「写真会議録」という我々と同様、五人のメンバーによるグループで、五人による写真集のほか個々人の作品も出展していました。そこで田中由紀子写真集「R.I.P」と、HIROTSUGU HOSHIKAWA写真集「idea SRC03」を購入しました。「R.I.P」には”行き場のない思い”と”あきらめ”と、それでも残存する”希望の光”が写っています。隣でお客さんと話している明るく元気な田中さん自身が豊かな心の持ち主だとわかって、だからすぐにうちとけることができそうです。「idea SRC03」はクールです。
 土曜日にはtwelve booksでANNE SCHWALE「Wiese」を購入しました。道端の草花を撮った狭深度の写真集ですが、同じように道端の草花を撮っても、こんなに静謐で端正な写真にはならないはず。撮影時刻や光の具合にもよるのでしょうが、珠玉の作品集に思えます。http://twelvebooks.tumblr.com/post/15883376964/twelvebooks-distribution-list-2012-wiese
 日曜日には「うたかた書房」の特価本zineの箱の中から三冊を購入しました。定価の80%引きくらい。フランスのGregory Vaitonという写真家がピレネー山脈を撮ったzineは家族の想い出をたどるようなことを物語として内包しているのでしょうか?途中には古いはがきや古い写真を接写した写真が挟まります。Morten Andersenという写真家のFAST/DAYSはちょっと森山大道を思わせるところもあるハイコントラストなモノクロ写真集ですが、それにもかかわらず一方で夢のような柔らかさがありそこが魅力です。もうひとつPhilippe Lopparelliという写真家の写真集は船、地図、道しるべ、カモメ、などのイメージから旅を思わせますが、なぜかそれが過去へ向かうような感覚になり、これから何度も見返すといろんな思いが現れて来そうな写真集です。
 といった具合で知らない写真集をたくさん見ることができてとても楽しい三日間でした。

 一方、ニセアカシア発行所に立ち寄ってくださったお客様からはいろんなご意見を聞かせていただきありがたかったです。そのことはまた今度、書くかもしれません。

 ところで、アマゾンの輸入盤で手に入れたダーティー・プロジェクターズの新譜。すごく気に入ってヘビー・ローテーションで聴いています。