風の日@新宿御苑 須田一政×瀬戸正人トークショー@PlaceM


 快晴。夜19時から新宿御苑前のギャラリーPlaceMで開催中の須田一政写真展「Rubber」に合わせ開催される瀬戸正人×須田一政トークショーを聞きに行くこともあり、14時ころから新宿御苑を二時間ほど撮影する。そのあとにトークショーの前のPlaceMで「Rubber」を見てから、17時前に三丁目のなんとかいうカフェで遅め(というかものすごく遅い)昼食にハヤシライス(本日のランチプレートだそうです)を食べる。ハヤシはすごく美味しいのに若干冷めた(ぬるい)感じが残念。ライスが若干ぼそぼそしているのも残念。

 新宿タワレコのジャズコーナーの面積は数年前より小さくなってしまった感じがするがどうなんだろうか。最近iPODで聞きなおしてみたら急に良く聞こえだしたラルフ・タウナーを見に行ったが、数枚しか置いていなかった。
 アート・ファーマージム・ホールの1978年録音の「ビッグ・ブルース」を購入。このアルバム(記憶が正しければ)、1979年、会社に入社した年の暮れに福島市に一週間くらい出張していたとき、夜に一人で行ったジャズ喫茶で掛かっていた。と、同時に、置いてあったスイング・ジャーナル誌にも同作の解説が載っていて読んだ。読んだことは覚えているが何が書いてあったのかは覚えてない。でも好評の記事だった(まあ、基本的にスイングジャーナルのレコード解説記事はそうでしたが)。なんだかなあ、そういう思い出がくっついていると、中身はともかく買ってしまうというこのジジイ的感傷的購入行為。
 帰宅してまだ聞いてないけどB面(当時のレコードだったらB面)最後の「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聞くのが楽しみ。

 強風だったので久々にスローシャッター写真を撮ってみようと思い、三脚とNDフィルターを持って行った。その三脚というのは3000円くらいで買えるちょっとした簡易三脚なんですね。それで今日の風では三脚として必要な堅牢性が保てなかった。ミラーアップしてセルフタイマー使ってシャッターを切っても、半分くらいの駒が風による揺れでぶれている。たぶん拡大して詳細にチェックすると全部ぶれているんだろうな。上の写真は新宿御苑メタセコイアの紅葉。シャッター速度は5秒くらいでしょうか。
 下の写真はもうNDは外して普通にスナップしながらぶらぶらと歩いていたら、やっぱり逆光の真っ赤なカエデのところにはカメラマンが大勢いました。樹液に集まるカブトムシやクワガタムシみたい。こっちは順光位置から撮ってます。そこに続く小道を上がって行くと、驚くほど静か。芝生広場の家族連れ、楽しそうに会話や子供たちの歓声がそこここから聞こえてくる。それなのにこの場所は人(カメラマン)の密度は濃いのに、なんだか声を上げちゃいけない風、怖い店主のいるラーメン屋さんみたいに誰もしゃべらず、ただシャッター音のみが聞こえるのだった。風が止るとガシャガシャガシャとシャッターが切られる。だいたいが望遠レンズで逆光に輝く真っ赤な葉っぱを、背景をぼかしながら撮っているのだと思う。葉っぱの配置とか前ボケとか後ろボケとか、お手本通り撮るにはいろいろと大変です。
 細かい気配りが面倒なので、私はそういうのは苦手で一駒も撮らなかったっす。

 須田一政トークショーでは女装(銀髪おかっぱのかつら、ボディコンスーツ、赤い口紅、つけまつげ)した瀬戸さんが登場して拍手喝采のもと開始。須田さんが約20年前にポラロイドで撮ったラバー(ゴム)製のボディスーツやマスクを付けたラバーフェチの女性たちを密室で撮影した「幻の」シリーズ。須田先生ご自身はその趣味はないと言う(ほんとかうそかはわからない)。ストロボで光るラバー表面のテカリとポラロイドの表面のテカリが合っていたという。そんな話から始まって、いろんな話が飛び出して、須田先生のトークショーを何回も聞いてきたが、今晩のはすごく面白かった。
 最近の須田先生は、早朝の4時とか5時に起きると、朝を待てずに車を運転をして真っ暗な中を出かけてしまって、撮りたいところまで行くと、車の中で(夜が明けるのを)待っている。その待っている一時間か二時間が至福の時間。以前、夜に一時間とかの長時間露光をしているその待ち時間にも至福を感じたが、そういうときに『自分の写真の人生』みたいなことを急速に短縮して思いめぐらすことが出来る。それがとてもいい。三脚とカメラの横に自分がいるのが集中的に写真について考える至福になっている。やがて朝焼けや薄明がやってきて、周りがうっすらと見えてくる。それはまるで現像しているときに像が浮かび上がってくるのと同じで、それがいい。そういう「気分」が大事だと思える。
 なんて話とか、他にも面白い話が沢山聞けました。
 薄明に浮かび上がってくる回りの景色を「現像と同じ」とおっしゃったところがすごい。