山梨県まで


 青春18きっぷがあったからどこかへ行こうと思った。いままで青春18きっぷがあるときには、東海道線を下ってどこかの町まで行って、映画を見たり、美術館に行ったりして、戻ってきていた。どこの町に行くかは、すなわちもう地方の町でしかやっていなくなった映画を見に行くとか、地方の美術館でやっている小さな展示を見に行くとか、そういう一応の目的を理由にして決めているが、実はこの「目的」は主目的のふりをしているだけで、実際にはどこでもいい。そういう理由はただのきっかけに過ぎない。なぜならその知らない町に着けば、あとは嗅覚なのか当てずっぽうなのか、路地をたどっては写真を撮って行くことが、本当は主目的なのだと自分でも納得するのだった。例えば、先日「ある夜のできごと」というタイトルだったろうか、蔦屋で借りてきた目立たない邦画を見たら、甲府がロケ地だったので、んじゃまあ今回は東海道線ではなく中央線を下って、甲府あたりまで行って戻ってこようと思い立ったりする。最近読んでいる井伏鱒二のエッセイにも山梨県はよく出てくる。
 それで大月で途中下車をしたりしながら甲府まで行って、戻ってきました。今回は映画も美術館も目的にはなくて、ただ甲府だった。
 沿線には撮り鉄の方がたくさんいらっしゃった。帰りに私も使った臨時の183系の快速電車が主目的だったのだろうか?甲府の駅には茶色に塗られたEF64も「停泊」していました。

 この写真は、甲府をぶらぶらと歩いていたら、なんとかいうギャラリーはこの路地を入って行きなさい、という看板があったので、その通り入って行くと、どうやらここかな?という建物があって、もちろん大晦日だし開いていない。すりガラスの隙間からのぞいてみたら、こんな抽象絵画がたてかけてあるのが見えました。なぜかエレキギターも置いてあった。

 今年も暮れますね。
 お世話になりました、来年もよろしくお願いいたします。