薄曇りの土曜


 例えば人を好きでいるという恋愛感情が、自分の意識の下では恋愛感情を継続していたい、好きでい続けたい、と思っているのにもかかわらず、何か第三者的でないこれまた自分の内部に属する(上記の意識とは別の)力が働いてしまって、意思に反してその気持ちが収束し終焉する、ということがあるだろうか。その場合、別の力とはなにか?なんていうことを考える。

 純正ペーパーを使わなかった数年前のプリントはだんだんとインクがに滲んで広がって行き、徐々に変化している。変化の過程をまた写真に撮っているようなことを気づいたらしているので、このバラの花の写真のプリントは、季節や風景や街角と同じように被写体そのもの。

 ちょうど正午ごろに出て、茅ヶ崎駅まで歩く。歩くのは運動ということでの気まぐれ。途中、夜はいつも予約満員の小食堂「HALI HALI」からランチの一巡目の客が出てくるところだったので行ってみたら、意外に空いていて、同行某と二人で食事を取る。こちらはオープン七年のあいだに四度目くらいの客ではあるが、来るたびに満足。でも、いつもは自宅と駅のあいだはバスに乗るので、この店を使うに至る機会が少ない。
 ポークカツレツ風にチーズと茄子が載ったのと、ミートボールにハーブの香りがするソースがかかったのと、この二つで充分な量であるうえに、これらが載った大きな平皿に十分な量の焼野菜サラダが添えられている。スープにパンまたはライスが付いて1050円でした。うん、なんかぐるナビの書き込みのようだ。星五つってことで。

 駅ビルの本やでブルータスの古本屋特集号を買う。ここ数日心待ちにしていたのです。四月にニセアカシア写真展を開催した茅場町森岡書店の森岡さんのインタビュー記事などもありました。行ったことのない新しい古本屋がきれいな写真と一緒に紹介されていると、すぐに雑誌の策略に乗せられてしまい、ここもあそこも全部行きたくなってしまう。本屋のあと、TSUTAYAに行き、さらにスタバに行ってから、帰りはバスで帰りました。

 TSUTAYAには細野晴臣の新譜がないかな?と期待して行ったのだが、探し方が下手なのか見つからない。それならばなにも借りなければいいと思うのだが、ユーミンのちょっと前に話題になっていた三枚組のベストと、いままでその名をいろんなところで聞きながら聞いたことがほとんどなかったクラムボンと、今朝早くのバラエティテレビ番組でなんとかいう映画に主演するということから取り上げられていた(若い女性ファンから「普通であることが好き」とか言われていた)星野源の新譜を借りてみる。スタバではいつも通りティー・ラテのラベンダー&アールグレーを飲む。なぜかスタバの珈琲があまり好きでないのですね。それで、姪っ子がいつぞやスタバでバイトをしていたときにおススメとして教えてくれたティー・ラテをよく頼むようになった。
 カウンター席に座る。何年か前の冬休みにこの席に座って、誰かを待っていて、一時間以上も座っていて、そのときには長田弘著「詩は友人を数える方法」を読んでいたことがあった。読書をした場所の記憶が、ときどき鮮明に残っている場合があって、ではその場所が特別な場所かというとそうではなくて平凡な日常の中にあるようなところにすぎなくて、それではなぜその記憶は鮮明なのか?そして読書の場所の記憶はたいていその場所の好感度を後日になり徐々に持ち上げてくれるようだ。

BRUTUS (ブルータス) 2013年 6/15号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2013年 6/15号 [雑誌]

詩は友人を数える方法 (講談社文芸文庫)

詩は友人を数える方法 (講談社文芸文庫)