須田一政写真展「無名の男女」トークショー ほか


 写真は24日の夜、茅ヶ崎の住宅地の中にある畑。何を育てているのかわからないが養生のために薄い布のようなものが掛かっている。

 26日土曜日。午後3時より中野の冬青ギャラリーで開催中の表題の写真展に合わせて行われた須田一政×林誠治トークショーを聞く。最近の須田さんの、ご自宅がある千葉と東京とを往復する撮影の様子が、いつになく饒舌に語られて、すごく楽しめる。とくに千葉にはご自宅を起点として車でたどる「妄想ロード」(ご本人弁)といういくつかのコースがあり(その終点近くが昨年写真展となった雀島あたりのようだ)その途中途中にある「必ず写真を撮ってしまう場所」の話や「その途上で起きたさまざまな出来事」、その出来事から発展する妄想の数々、などの話はときどき笑いも漏れる。あるとき車で走っていると黒鳥がやってきて、自分を導くように飛んでいるので、その鳥に付いて行った、などと言う話はファンタジーだった。(奥さまに言わせれば、黒鵜が巣を守るために威嚇に来たのだろうということらしい)
 対談のスタートは須田さんはなにも話さず、身体も動かず静止していて、林さんが一瞬あせっている風にも見えたが、話し始めたらスイッチが入ったように雄弁でいらっしゃった。五年か六年まえ、いやもっと前かも、に聞いた、小島信夫保坂和志の対談のスタートのときのようだった。
 須田塾のことにも触れる。塾生の写真を毎月みているうちにその人の癖とか性格とかが判ってきて、そうなると写真を読み解くのが面白くなる。といったような当たり障りのない話のあとに、別に写真じゃなくてもその人が考える術を見つければよい、というようなことをおっしゃって、ちょっと驚いた。なにを「考える術」とおっしゃったのかと考えるに、青臭く言えば「自分とは何か」みたいなことだろうか。

 トークショーのあとの打ち上げで(24日のこのブログに書いたことと関連して気になったので)須田さんに聞いてみた。
私:「最近、須田さんの「角の煙草屋までの旅」を見返した。そこに先生が書かれている文章にはカメラを持ってさえいれば、近所であろうといつだって新鮮に風景が見えるといったことが書いてありますが・・・」
須田さん:「うん、そうですね!」
特にそれ以上の話もなく実にきっぱりと、強く、そうお答えになった。

 このトークショーのまえに昨年まで須田塾で顔を合わせていた数人の方にお会いして、その際に、このブログに載せた2013年に入ってからの写真を適当に五十枚ほどプリントしたものを持って行って見てもらう。やっぱり写真は誰かに見てもらってなにか感想なり指摘なりを聞くことがすごく重要だな、と感じる。
 たとえば下のような二枚の組み合わせによる対比が面白いと、言っていただいたりして、なるほどねーと目を見開かされるわけです。