スキャンの午後


  昨日、赤塚や六本木や横浜の大桟橋で撮った4本のフイルムを現像するために、9時過ぎに藤沢に行く。家を出る前に、現像代金が500円から600円と仮定して、私は205円で24枚撮りフイルムを買ったわけだが、これと同じ一枚辺り単価になる36枚撮りフイルムはいくらなのかいうことを、現像代金は24枚撮りでも36枚撮りでも変わらないとして計算してみた。そうしたら、例えば400円とか500円の36枚撮りフイルムがあれば、そっちの方が205円の24枚撮りより良さそうだ(ネガ一枚辺りの単価がお得)ってことになった。ミソはフイルム現像代を24枚撮りと36枚撮りで同額としたところなのだが、藤沢駅近くでいえばDという店は枚数に限らず何枚撮りでも一本600円ちょいで、ビックカメラは枚数により100円くらいの差がありかつDより安いようだ。しかし、Dの方が早く出来上がる。損得勘定だけをするにしても、待ち時間が長いビックカメラに現像を頼むと、もしかしたらその待っている間に何かを飲んだり食べたりして、出費するかもしれない可能性もあるし、など考え始めると何が得で何が損かはわからない。むかし、10円安い例えばトマトを買いに、バス代を払って遠くのスーパーに行くお母さんの出てくる何かのテレビコマーシャルかあったような気がする。あれは、微笑ましい行動の愛すべきお母さんとして描きたかったのだったか。これだってお母さんの満足感や、移動中にバスの車窓から見て何かを感じたり考えたりしたであろうそのことの価値や、そんなことまで含めると損得勘定は出来ない。なんだか余計なことばかり書いている。とにもかくにも、フイルム代だけでなく現像代まで考えると、205円の24枚撮りフイルムを買うことと、400円から500円の36枚撮りフイルムを買うことは、狭い範囲の視点による損得勘定をするとだいたい等価のようだ。
なんて計算結果とそれに対する考察をここに書こうと思って書きはじめたのではないのだが。
きょうの午後は、受け取ったネガをもう十年くらいまえに手に入れたフイルムスキャナーで読み取る、即ちスキャンする作業を、夕方の5時頃までしていた。そのあとはサッカーの試合をテレビで眺めたりした。暗くなってくるとベランダの方から虫の声が聞こえる。暗くなったから鳴いているのに気が付いたのか、暗くなったから鳴き始めたのかはわからない。鳴いているのに声も、鈴虫や閻魔コオロギのような綺麗な、かつ、朗々として大きな音色ではない。ギギギと鳴いて、疲れてしまいしばし休んで、また思い出したように鳴く、そんな感じに聞こえるか、これも私の勝手な脚色と言うのか、思い込みなだけであって、ベランダのコオロギはいつでもこうだったかもしれない。ソンナコトサエわからない。例えば清少納言ならそんなことはわかっていたのか。あやなに、急に清少納言ていうのも唐突でした。
十年前のフイルムスキャナーは一コマの写真を読むのに二分か三分かかかる。六コマづつフイルムがカットされているとして、その六コマを読み取るには十五分くらいかかる。あ、これだって時計を見て計ったわけではないから、もしかしたら一コマは一分て、六コマ読むのは六分かもしれないな。とにかく、私としては、六コマをスキャンする時間にボーッとしているのは無駄な気がする。それでは、この六分だか、十分だかの待ち時間に本を読み進めようとすると、今度はこの時間では短すぎてなかなか物語に入り込めない。隣室で家族のTが何かの洋画のサントラCDを聞いているのがこっちにも聞こえてくる。誰かが聞いている音楽が、こっちまでくぐもって小さく聞こえてくる、それがいい感じのときと煩いと感じるときかあるだろう。このときはいい感じだったので、自分が音楽を聴くことはしないでいる。
今日は快晴で少し暑い。昨日は午後からは曇りで少し寒かった。藤沢は市民祭りの日だった。駅の回りに大勢の人出があり、御輿やブラスバンドのパレードを眺めたり、屋台で何かを買ってきてその辺りのベンチや、あるいは立ったままで、食べたりしている。焼鳥とか、焼そばとか。そんな町から茅ヶ崎に戻ったせいか、今度は茅ヶ崎駅の回りがひどく閑散として見えた。いつもはもっとたくさんの人がいるように思えるのだが。
暑いせいからか、藤沢駅構内のジュース店が少しだけ混んでいる。この手のジュース店は山手線のどこかの駅にあったような。恵比寿かな?新宿かな?昨年かもう少し前の夏に、一回だけその都内のどこかの駅のホームの店でジュースを買って、飲んだ。何のジュースにしたんだかはもう覚えてない。思い出す手がかりもない。
今日、この写真を撮ったあとにジュースを飲もうかなとも思ったが、でもやめた。