通話


 チリの作家ロベルト・ボラーニュ著「通話」という短編小説集を三週間くらいかけてゆっくりと読んで、読み終わって、あー充実した読書をしたなあ、と満足した。下北沢の古書店で、その前に読んだフィンランドの作家レーナ・クルーンの本と一緒に買ったものだった。少しボルヘスの読後感に似ている。
 たとえば、朝7時台にどこか駅の近くのバス通りに面したチェーン店のカフェでモーニングセットを食べながら読んで、一編を読み終わり顔を上げて、窓の向こうを通っていく人たちが見えると、別段その人たちが急に愛しくなったりはしないが、そういう当たり前の毎日接している光景を、数年後に思い浮かべる機会が増えていっているような感じ、かな。よくわかんないけど。
 もっと読んでみたい作家。

通話 (EXLIBRIS)

通話 (EXLIBRIS)