暖かさに誘われて


 昨日、2005年の雑誌エスクァイヤ「旅する写真家」特集号を、気まぐれに本棚から取り出してめくってみたら、鈴木理策さんの枯木灘という写真6枚のページがあって、最後のページに理策さんのコメントが載っていた。
『写真を撮ろうと意気込むと、あれやこれや予定調和に収まってしまうので、まずは自分が見つめて、遅れてカメラについて来てもらっている。』
なんて書いてあった。昨日見たその6枚の写真が私の中に歌のメロディーが離れなくなったときみたいに、残っている。かと言って、なにか自分の撮る写真が変わったり上手くなったりするわけでもないのだが。

 何年も前に古本屋で買ったらしい。300円って鉛筆で最後のページに書いてあった。この本はすでに文庫になっているようだ。(ただし文庫本になったのは単行本に収録されたうちのベトナム紀行のところだけなのかもしれない。ベトナム編と書いてあるし)買ってあったのは単行本の方。それが未読タワーに埋もれていて、なにかの拍子に表面に出てきたから読んでいる。沢木耕太郎の文章は、ときとして過度なまでにセンチメントだが、その仕立てに反抗せずに、楽しい読書になっている。思考のスタンスもきわめて常識的なところに立っていて、破天荒ではないが安心できる。

一号線を北上せよ

一号線を北上せよ