横浜駅通過


先日のこと、自転車のタイヤがパンクしてしまった。東海道線の踏切を渡って、渡った先の坂道を気持ちよく下っていたら、突然に後輪からシューッと言う音がしてみるみる空気が抜けた。自転車を降りて、押して歩き、その時間にすでに開店していたイオンの自転車屋に持って行った。
 数日後の夜、会社の帰りに自転車屋に立ち寄って、この際前輪も一緒にタイヤもチューブも新しくした自転車を引き取った。ついでにイオンの二階にあるモンベルに寄ってみた。アウトドアブランドのモンベルです。手塚治虫の描いた漫画のコマをTシャツにしたシリーズがあって、なんとなく一枚買ってしまう。
 タイヤを変えた自転車は、ついでにブレーキの効き具合なんかも調整してくれてあって、なんか快適になった。

 恩田陸著「MAZE」文庫本のP164あたり。
主人公の恵弥が言う。
「(前略)世界は完全に二極化すると思うのよ。無論、超デジタルと超アナログの世界ね。恐らく、見た目にはむしろ昔に戻るかもしれない。コンピューターはますます小型化していくだろうし、それまでTVがあってワープロがあって電話があってみたいに道具が機能ごとに分かれていたのに、全部一つで兼ねることができるようになるでしょう。モノが減って家の中はがらんとするし、町や道路は空いてくるし、都市機能が拡散していくから牧歌的な風景が戻ってくるかも。ハードもソフトもますます見えなくなっていって、ちっぽけなICチップの中で全ての事象が処理されるようになる。デジタル化が進むと、むしろ世界はアナログ化してくるのよ。少なくとも観た目は(後略)」
 これに対して会話が進み別の登場人物がこう言う。
「(前略)技術は進んでも、人間のレベルは全く進んでいないんだもの。考える時間が多く与えられれば与えられるほど、たいていの人間は妄想ばかり膨らませるものよ(後略」
 あるいはこう言う。
「(前略)デジタル化された知識は、ほんの一握りの階層のものになり、世界の大多数の人はそれがどういう仕組みで動いているのか全く知らない。知らなくても恩恵に与ることはできるし、操作はできるのですからね(後略)」
恩田陸はこの小説を2003年に書いている。初代iPHONEの発表が2007年。それより4年前に「全部一つで兼ねる」と言うのは、結構敏感に未来を読めているなあ。それとも当時すでにみんなそうなるって判っていたっけか?
 ただ、時間余裕が出来て妄想をするようになる、というのは当面あんまり当たってない気もする。そういう人もいるのかな?どっちかというと余裕にしてくれず社会の競争や狂騒が激化して急がされてばかりなのではないだろうか。
 電車の中で頭を使わずに読もうと思って大船駅ナカの書店であまりなにも考えず平積みにあったこの本を買ったのだが、その通りささーっと読んだら、どうやら重要な伏線もスルーしてしまったらしく最後の落ちの理解度が低いように思えるのだ。いつものことですが。

MAZE 新装版 (双葉文庫)

MAZE 新装版 (双葉文庫)