二色の空


 朝、宇都宮の単身用の家を出て歩き始めて、ふと空を見上げたら一面曇りなのだが、その雲がグレーと青の二色に分かれていた。上の写真は手前の建物が暗く沈んでいたのを少し明るく持ち上げた。その結果、電信柱の下半分が明るくなってしまった。
 書かれた文章から推察することしか出来ない面識のない方のブログなのだが、面白いのでお気に入りに入れてときどき読んでいる、そういうのがほんの三つか四つある。私のブログもそんな風に誰か知らない方のお気に入りにひっそりと入っているだろうか。そうならばまあ嬉しいことだろう。
 京都に住んでいるらしい、男性らしい、フイルムカメラにこだわっているらしい、私よりは若いだろう方のそういうブログのずいぶん以前の記事にブックオフの洋書コーナーを巡って掘り出し物の写真集を安価に手に入れることがあると書いてあった。そんなこともあるのか、ブックオフの洋書コーナーなどいつも素通りしている。
 夕方、帰り道に茅ヶ崎ブックオフに寄る。洋書コーナーがあることを認識していなかったが、あったので、その記事のことを思い出して、一冊づつまめに見ていく。背表紙だけだと、それが小説なのか絵本なのか、観光ガイド的な本なのか、あるいは主婦向けのケーキ作りのムック本のようなものなのか、すぐには判別が出来ない。英語の上に慣れていない。そんななかにヴィム・ヴェンダースの写真集「Written in the West」を見つけた。510円だった。たぶん安価に買えたってことだろう、少なくともアマゾンでは数千円していた。
 ショアのニューカラーの写真に似ているなあと思う。そっくりだ。こういう写真を見ていつも思うのは、我々日本人が「異国」としてのアメリカ西部や南部の風景(というか街角風景)を眺めるときの感情って、とくに私のように1960年代や70年代に、(もちろん全員ではないけれど)日本の若者がアメリカのウェストコーストの若者文化に影響を受けたり憧れたりしていた真っ最中に十代だったので特にその症状が重い気もするが、簡単に言えば「かっこいい」とか思ってしまっていた気分の欠片がいまも残っているから、どうしても肯定的にこういうニューカラーの街角風景を受け入れてしまっているのだろうということだ。私より十歳、二十歳、三十歳若い、それぞれの世代ごとに、また世代共通の別の見え方をしているのだろう。それらはもっと落ち着いていて分析的で冷静で、この五十代のおじさんの「かっこいい」的偏見を排除出来ているのではないか?
 海外で漢字が書かれたTシャツが「かっこいい」ともてはやされているなんてニュースとその写真を見ると、こっちは漢字を「読めて」「意味を理解して」しまうから、ゲゲゲって思ったりする。それがひっくり返ってこっちが笑われる番になりかねない感じかもしれず。。。
 写真集にはデニーズの日本と共通の看板をはじめ、様々な英語の「文字」が写されている。どう見るべきか。単純に「かっこいい」などとは思わないぞ、と気を引き締めて見るべし。

Written in the West

Written in the West