紅葉の山


土日に仙台に行く機会を得た。仙台から仙山線に乗ってみる。やがて窓外の景色は名もない(名はあるのだろうが、)山々を、茶色や黄色や黄土色やオレンジや赤に、常緑樹の緑、すでに葉が落ちた木々の白や銀色や黒い枝振り、と言った沢山の色が覆っている。どこかの紅葉の名所に行くよりも、こうしてどんどん通り過ぎるこの景色を、あっと言う間に通り過ぎ、予期せず現れる景色を、ポカンと眺めるのが実はもっとも贅沢な紅葉観光なのではないのか。カメラを取り出して、不意に現れる絶景を瞬時に撮ることを試みていたが、なかなか上手く撮れない。そのうちに、通り過ぎる紅葉に感心しているのなら、通り過ぎる通りに撮ればいいんじゃないのか、と思ったので、シャッター速度をぐっと遅く、三十分の一くらいにして撮ってみたらこんなのが撮れました。

夜、通り雨。冷えてくる。傘をさし、背中を丸めて、仙台に来たときには必ず寄ることにしているジャズ喫茶カウントへ。珈琲。アル・コーン&ズート・シムズのmotoring alongと言うアルバムのBサイドを聴いて、次のリー・モーガンが流れ出したところで店を出た。アルテックの大きなスピーカーから流れるツインサックスの疾走感溢れるjazzを聴くと、こんな大音量で、目を閉じるといまこの目の前に彼等がいるような臨場感に包まれると、この一期一会のアルバムこそが最も大事なアルバムに思える。
あとでAmazonで検索したらこのアルバムのCDはもう新譜は品切れらしく中古CDも高かった。