桃の味の食パン


同年輩のAさんと、今度はどこかに鰻を食べに行こうではないか!とメールのやり取りをしていたが、私が行きたい鰻屋とAさんの行きたい鰻屋がなかなか合致しないまま物別れに終わってしまった。しかし、そのせいで、にわかに鰻を食べたくなった。日曜日、自転車に乗って茅ヶ崎の海側、通称鉄砲通り沿いにある鰻屋へ一人で行ってみる。久々の鰻を楽しんだあとに、そのまま自転車で辻堂の方まで行ってみる。古書Yで本を見るが、なにも買いたい本が見付からなかった。その近くのOコーヒー店に寄ったが、なにやらご婦人の集まるワークショップみたいなことをやっているので、珈琲を飲むのは諦めた。なんだかぱっとしないのだ。近くの食パンの店Fに寄る。今日が最終日と書いてある季節限定のピーチの食パンを買う。最後の一個だから、今年の最後の一個だ。パンの入った袋を左のハンドルにぶら下げる。自転車には籠がない。自転車を漕ぐとときどき左足の膝がパンの入った袋に当たる。パンがダメージを受けないよう、膝がぶつからないように意識する。なんだかぎくしゃくして早く漕げない。湘南Tサイトにでも行こうかな、と思ってしばらく行ったが、行ってもしゃぁないかな、と言う思いが生じてどんどん大きくなる。結局Uターンしてしまう。勝手に右往左往している。ぱっとしないまんま、たらたらチャリを漕いで帰宅。
ピーチのパンを家族のSが、美味しい、と言って食べた。そこで一切れ(6枚切りの1枚)袋から取り出し、皿に置くわけでもなく、台所で立ったまんま、ちぎって口に入れる。桃の味がしたら、急に自分の忙しない感じに気が付いた。