傘を忘れた日


昨年社会人になったばかりの、二十代のK山君は、大阪府で育ち、北海道で学生時代を過ごし、栃木県に勤めている。同行したいとおっしゃるのでふた月に一度くらいのペースで行っている都内写真展巡りにお誘いした。
六本木のフジフイルムスクエアで合流し、これはたまたま招待券をもらってあったので、写真展ではないが21-21で土木展を見る。昼食後に新宿に移動して、途中、路地好きらしいK山君のために思い出横丁や昼間で誰もいないゴールデン街を案内しつつ、ニコンサロン、コニカミノルタプラザ、蒼穹社、PlaceM、と回ってから、最後はPlaceMで、瀬戸さんと森山さんのトークショーを聞いてきた。

「街を歩いてストリートスナップをしているカメラマンは総じて皆さんお元気ですね」
「既に(カメラを持って街を)徘徊してるからね」
なんてやり取りも。和気藹々。

トークショーの前の時点で私はこの日、約200枚撮っていたが、そんなに撮っている風には見えなかったK山君は350枚だった。一緒に歩いていて、そんなに撮っているようには見えなかったから、その目立たないところが凄い。

PlaceMの傘立てに傘を忘れてきてしまった。来るときには持っていた傘を持たないまま、PlaceMから新宿駅まで歩いて、湘南新宿ラインに乗って茅ヶ崎に帰ったのだか、茅ヶ崎に着いた頃になってやっと傘のことを思い出したのだった。

写真は新宿ニコンサロンの入っている階から東京の街を遠望。モノクロにして少しトーンカーヴをいじってはいます。北なのか西なのか、反対か、どっちを見ているのかわからない。