少し歯が痛い日曜日

自室では椅子の上にまで雑誌が積まれていて、座れない。唯一座れるのはベッドの上だ。しかし背凭れがない。ベッドの片側の壁や足元側の本棚に凭れることは出来るが、壁や本棚は、当然のこと固い。これでは自室での読書などできない。ベッドに寝転がると言う手もあるが、本を持って仰向けになっていると肩や腕が疲れるし、うつ伏せで読んでいると腰が痛くなる。第一、寝転がるとすぐに眠くなるので読書が進まない。
そこで先日、ニトリに行った際に、安価な座椅子を買ってきた。この座椅子をベッドの上に置いてしまう。勿論、寝るときは床に下ろす。ふむふむ、なかなかに居心地が良くなった。と、そこは満足なのだが、では読書に熱中出来たか、読み終わったページ数が増えたか?と問われると、その効果は現れない。結局、座椅子に座ったまま眠くなるのだった。
10日の日曜日。いつになく遅くに起きる。座椅子に凭れて、京都旅行の最中に買ったレリスの夢日記のような本を読み進むが、旅行中の京都では不思議な浮遊感が魅力的だったのに、自室で読んでも引き込まれない。それで同じページを行きつ戻りつしている。
近所の家から日曜大工だろうか金槌で叩く音が聞こえるが、騒音に配慮しているのか、ガンガン叩いていない。控えめな感じがする。その控えめな音の大きさが、いかにも日曜日って言う感じで、好感すら覚える。こんなのはこっちの気分によるところがほとんどで、何かイライラした気分のときだと、非常識だと気色ばむかもしれない。
昼過ぎてから妻と外出。昼食後に別行動として、コンパクトデジカメを持ってふらふら路地を、適当に曲がりながら、それでも概ね海岸の方へと歩いていく。茅ヶ崎市民球場で中学校野球部の、これからはじまる試合に向けてのウォーミングアップたるキャッチボールを眺める。海に着くと、はっきりと伊豆大島の島影が水平線上に見える。冬の空気の澄んだ日よりもさらにはっきりとしている。島影は青みを帯びている。青いのは伊豆大島だけではなく、丹沢から箱根、箱根から伊豆半島、と続く山の稜線も青かった。
茅ヶ崎海水浴場はまだ夏休み前なのにずいぶん人が出ている。海水浴場では写真は撮らない。
行きすぎて漁港の防波堤から、遊泳禁止の曲線を描く砂浜を遠望する(下の写真)。手前にテトラポットがあって、そこを画面の外に追い出そうとするとこんな風に空がちょっと広くなりすぎる。しゃぁない。
砂浜から歩いて帰る途中の喫茶店は、ほかに誰も客がいなかった。その隣のパン屋で、もうほとんどのパンは売り切れだったが残っていた茄子の乗ったパンを買う。
少しだけ歯が痛い。