荒れた天気


 世田谷美術館アルバレス・ブラボ写真展を見に行く。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
 8月12日金曜日に休暇を取得したので連続11日となった長い夏休みも明日の21日日曜日でおしまいになる。どの年の夏休みも、それこそ小学生のころからずっと、社会人になってからだけでも35回以上も、夏休みがあったそのどれにおいても、夏休みがもうあと三日か二日でおしまいになる終盤になると焦燥感にとらわれる日が現れる。それで、このいちにちをなんとか充実した日にしようと意識的になり、かえって焦燥感がぬぐえないまま終わることが多いのだ。それはなにも夏休みだけのことではないかもしれない。GWや年末年始の休暇も同じかもしれない。そんな感じで、なにか展覧会に「行かなければならない」ような感じで出かけた。
 学生のころにクラスに40人の同級生がいて、それぞれの顔と名前は一致して、どんな奴かもなんらか知っていた。そう考えると、例えば社会人になってからの35回以上のそれぞれの夏が、それぞれどういう夏で、その夏になにをして過ごしたかをエピソードとして一つや二つ、ちゃんと覚えておくこともできる筈なのに、なにも覚えていないものだ。どの年のエピソードかは覚えていなくても、いつかの(どれかの)夏に起きたエピソードとして覚えていることが三十や四十はあってもいい。それなのに、そんなのもたいして覚えていないものだ。三十や四十なんてとてもとても。誰と何処に行った、あのときは暑かった、程度のことは、すなわち物理的な場所や一緒にいたのが誰か、などは覚えていても、そのときの自分の気分や、そのときに自分が捕らわれていた諸所雑多な暮らしのあれこれや、悩みや、考え方や、そういうことは何も覚えていない。
 たぶん、多かれ少なかれといったことはあるにせよ、みんなそうなんだろうとは思うが、なんかもったいないことをしてしまったような気がしてしまう。

 写真展は年代をおって多彩な作品がカタログ的に紹介されている。大戦中、メキシコに亡命していたフランスやロシアや英国の芸術家や文化人のポートレートが印象に残る。

 この夏は、雨がよく降り、一日中晴れている日が少ない。