霞んでいる遠景


国道1号線大磯駅近くにタイ料理の食堂がある。五年前にはまだなかった気がする。二年前にはもうあった気がする。車を運転して通り過ぎるときにチラッと見えるから、いつのまにか認識された。そこで今日ははじめてその店に家族の某と一緒に行ってみた。二種類のカレーを選ぶセットにした。某はパッタイ。本場のタイの味がどんなのかは知らないから、これは日本人向けにアレンジされているのかもしれないが、なんだかとても美味しいのだった。
その後に行くところが思い付かないが、ただ食べて帰る、だけでは、何て言うか「芸がない」とでも?そんな感じがする。こんなのは、その人、その夫婦、その家族、のなかのいつのまにか出来てる行動パターンのようなことだ。これを読んで、食べて帰るでゼンゼンいいじゃん、と思う方もいるだろうし、たしかにそれだけでは芸がないよね、と思う方もいるだろう。
それで、たいした芸じゃないけど相模湾が見渡せる湘南平と言う丘陵地帯の稜線上にたまたまあった平たい場所にちょっとした展望台やテレビ塔や公園が作ってある場所に行ってみた。私はときどき来ている。某は何年も来ていない。
この日の午後の湘南平は晴れてはいても、ガスってると言うのか、霞んでるって言うのか、遠くが見渡せないような視界だった。
それも一期一会の風景。人間の決めた奇妙な基準の絶景ではなくても、均等に必要な風景。