足利 館林 浅草


かまめしも みぞれるものの ひとつかな 久保田万太郎

午前、JRを乗り継いで宇都宮から小山経由で足利へ。足利学校はなにかのイベントの日で、入場無料と引き換えに、いつも見学できる講堂(のような建物)を見学できない。紅葉を眺めて、同行Mのスマホで、順番に記念写真を撮る。足利氏旧居にあたる鑁阿寺には、銀杏の大木があった。樹齢650年。このお寺の本堂は国宝に指定されている。境内に作られた舞台では歌謡ショウのイベントが行われている。ぱらぱらと拍手が起きる。
 歩いて東武足利市駅へ。東武電車で館林へ。ここは鶴のかたちをした群馬県の嘴の部分にあたる。群馬県と栃木県と茨城県と埼玉県がぐちゅっと集まっているあたりだ。タクシーに乗って群馬県立館林美術館へ。http://www.gmat.pref.gunma.jp/
「大地に立って 空を見上げて〜風景のなかの現代作家」展。中西信洋《Layer Drawing−the Tactual Sky》は透明シート(むかしプレゼン資料でよく使ったOHP用紙のような)に印刷した写真をドミノ倒しの積み木のように、狭い感覚を置いて並べている。写真は夕暮れの空で、ジョイナーフォトのように少しづつ撮影範囲をずらして行くのか、それとも数分置きくらいの定点撮影なのか、それを合わせているのかな。その写真の集合による「芋虫」のような作品の「塊」の周りをぐるぐると歩くと、動画を見ているようにダイナミックに自然が動いているように見えるのがすごく面白い。実際に夕焼け空の変化を見上げているとき以上に、ダイナミックを感じる。それはもしかしたら恥ずかしいことで、われわれはもっと風景の「変化」に敏感でいなければいけないのではないか、と教わった感じ。
 瀬尾夏美《五本松、昔はここでよくあそんだ》はテキストと絵画により、震災後の被災地を見つめる「パーソナルドキュメント」風の作品だった。絵画の明るさ鮮やかさがきれい。
 館林から東武の特急電車で浅草へ。午後六時ころ。なにか食べていこうということになり、どういう背景で食べたいものが決まるのか自分でもわからないが、なぜだか釜飯が浮かぶ。釜めし「春」は大正年間の創業らしい。久保田万太郎の句が書かれた湯呑みが上の写真。私は牡蠣の釜めしを食べた。焼き鳥も食べた。小ジョッキのビールを飲んだら真っ赤になった。
 夜になるのが早い。
 



よく教科書に載っている写真の宮沢賢治のような歩き方の人が遠くに見えた。