潮だまりで何かを探す人

家族の中で一人だけ、起床時間が甚だしくずれていて早いから、休日の朝は一人の時間である。と言っても世の中だってまだ活動を始めていないから、どこかの店になにかを買ったり食べたり観たりしに行くことも難しい。よってコンビニだよりになる。コンビニでなにか飲み物や食べ物を買ってから、車に乗るが、自由時間と言ったって、湘南平か立石海岸が定番で、たまーにもっと遠くまで行くもののそんなにたくさん選択肢があるわけでもない。
立石海岸は私と同じような事情のおじさんもいるのか、朝早くから無料の県立駐車場は六割か七割か車で埋まっている。
立石の磯浜を写真に撮っていたら三人組のおっさんがせかせかやって来て、みんなで潮溜まりを覗きこみ何やら指差したりしている。なにをしているのか見当もつかない。なにか研究をしてる人のフィールドワークかもしれないな。
立石海岸には、ここを舞台にして泉鏡花が書いた、草迷宮と言うタイトルの小説の一節が石碑になっている。それで、去年、この小説を読んだ。ところが読んだことは覚えているが、もうすでに、物語のあらすじをところどころ忘れてしまったな。