春のぼんやりした夕暮れ


3月18日土曜日。都内の写真集専門書店から、通販で買った「柳沢信写真集」。昨日の夜に帰宅したら不在配達の連絡票が入っていた。今朝、8時過ぎに、その連絡票に書かれた番号に電話して、再配達ではなく、本日の9時半から10時半頃に茅ヶ崎郵便局に受け取りに行くと申し出る。それでOKとのこと。
ところが、自家用車で10時過ぎに郵便局に行ってみると、なかなか荷物が見つからない。15分くらい待たされたのちに配達担当らしき男性が、手違いで配達員が持って出てしまったと言う。少しむっとして、今朝、電話した経緯を伝えたが、話してるうちに、まぁこんなこともあるさ、しゃぁない、と思い始める。
結局、本は昼頃に配達されてきた。家族の某が受け取りに出たときに、この荷物は受け取りを申請したのに間違ったもの(ですか?)と言おうとしているのが聞こえる。ですか?のところを遮るように、明るい声で、なんかそうみたいですね、すいませーん、と言う声がした。苦笑とはこんなときの笑いだな、と思う。
柳沢信の写真集、素晴らしい。
午後一時過ぎに家族とAEONに行く。安価なネクタイを三本買う。
帰宅後Hさんからのメールに気が付くが、再び出る元気なくお断りの返信。
そのあと部屋の片付け。あれこれ捨てたり整理しているが、見渡すと雑然としてものだらけ。

3月19日の日曜日。朝、たしか伊豆フォトミュージアムでやっている写真展の、鹿と亀の写真が印刷されたフライヤーを見たことを、なんとなく思い出す。名前は覚えてないが、あのフライヤーの写真展をまだやっているかな?とスマホで調べてみる。4月の上旬まで開催中とわかり、続いてスマホで交通情報も調べると、西湘バイパスから箱根新道、箱根新道から国道一号、最後は国道一号からちょっとだけ長泉の方に伊豆縦貫道を使うルートで渋滞なく行けそうだった。以前行ったときはは東名を使ったが、東名高速で行くと80キロ、上記のほぼ最短ルートは60キロ未満。所要時間は同じくらいで、かつ交通費は東名高速ルートよりも、ほぼ最短ルートの方がずっと安い。箱根新道も伊豆縦貫道も無料だから西湘バイパスの使用料だけが有料で済む。
8時過ぎに出て、9時半過ぎに到着する。開館の10時までチケット売り場の前のベンチで鳥の声を聞いてぼんやり過ごす。ウグイスの声を聞く。
ヨヘン・レンペルト~せかいをさがしに~展。
http://izuphoto-museum.jp/exhibition/index.php
モノクロの粒子の荒れた、黒も締まらずゴミもほったらかし、そんな大小さまざまな大きさのプリントが壁にじかに貼ってある。写っているのは動物や植物や人工物。こう書いてもよくわからない。小さな子供向けの使いふるされた図鑑を図書館でめくっている、そんな楽しさがじわじわ沸いてくる。高画質であること、あるいは、カラーでかつ色再現に富んでいることなど不要な、子供が描いたゾウやイヌや自動車やお母さんの絵が、稚拙でシンプルでも、ゾウやイヌや自動車やお母さんと明確にわかる、そんなようなことを提示して、すべての難しい顔をした大人を笑うよう。子供の視点だからこそ気が付く、似てる!を大事にすること。
帰り道は三島の大吊り橋まで渋滞するもののあとはすいすいと進む。小田原厚木道路から伊豆方面へ行く左車線の大渋滞の隣の右車線、西湘バイパス平塚横浜方面に行く車は、そっちは世界の終わりですよ、と勘違いしそうなくらい前にも後にも一台も見えない。
1時過ぎに帰宅。3時からダゾンでJ2湘南対愛媛を見る。特に後半、湘南は相手ゴール前まで行きながらシュートで終われずボールを奪われ、そこからのカウンター攻撃をたびたび浴びる。はらはらする。

3月20日月曜。春分の日。暖かい。父の墓参。母の入ってるホームに顔を出す。その後帰宅したら、朝に持って出たコートがないことに気が付く。しばらく考えて、墓参の前にモーニングを食べたデニーズに忘れてきたことにやっと気が付く。電話して忘れ物として保管してあることを確認してから取りに行く。
茅ヶ崎の国道一号沿いにあり繁盛しているように見えた森ノ珈琲が閉店していることに、通りすがりに気が付く。
4時ころからカメラを持って散歩に行く。海まで行って、例えばこんな写真を撮ってから、駅に戻る途中でひとつきかふたつき前に出来た珈琲スタンドに立ち寄り、店の若いお兄さんと話す。FacebookだかTwitterだかに珈琲の写真ばかりを載せてもつまらないので、富士山遠望の写真を撮りに行きたかったが、今日はぼんやりした空で富士山が見えないから撮らなかった、ようなことをおっしゃる。私は、富士山が見えない今日のような春の日も、こんな春らしい日こそ、写真を撮れば、それは記憶を呼ぶ力を持つかもしれない、とか内心思うが、もちろん言わない。