夕暮れに


 午後六時になってもまだ日が沈むまでしばらく時間がある。でももう砂浜に遊びに来ていた人たちの大半は帰宅してしまった。最後まで残ったグループは、この五月の気持ちの良い日曜日が夜になってしまうのを惜しむように、いつまでも帰れないのかもしれない。そんなことを思ったら、急に「帰れない二人」と言う曲のメロディが頭の中に浮かんできた。自転車を漕ぎながら口笛を吹いてみる。間奏のメロディまで途切れず思い出せる。若いころに聴いたり読んだり見たことは、特別な思い入れがなかったものまでちゃんと覚えているが、これはメモリー容量がたくさん残っているころに「念のため」とか「余裕あるからまっいいか」とメモリーを浪費しているような感じすらする。そんなこと覚えてなくていいから、最近のこの「物覚えの悪さ」を救うためにその容量を回してもらいたいくらいだ。
 なんて書いているが、気持ちの良い夕暮れ時の海辺のサイクリングコースを自転車で走りながら、間奏までちゃんと「帰れない二人」のメロディを口笛で吹くなんてなかなかカッコいいね。カッコつげ過ぎ、と言うか、自己陶酔?

 今日は午前に横浜某所に住むTのところに、ずっと家に置きっぱなしだった自転車を運んでいく。ロイヤルホストでものすごく大きなマッシュルームが使われているサラダを食べる。午後2時ころに帰宅して、2010年の5月に撮った写真を見直してみる。先週、ふと思いついて、少し昔の写真を見直している。2010年の5月に私が撮った写真は、いまよりずーっといい感じだ。最近はどうしてこういう写真が撮れなくなったものか。もう一つ驚いたのは7年前の五月、私が一日に撮り歩いている距離というか場所の多さ。朝、家を出て、この写真と同様に茅ヶ崎漁港あたりからサイクリングコースを走りながら江の島方面へ。江の島駅に自転車を停めたのだろうか。江の島では徒歩で展望塔のある頂上まで登り、そこから降りて岩場へ。岩場で写真を撮ってから船で戻っている。そのあと、自転車は置きっぱなしにしてあったのかな、モノレールで西鎌倉へ移動したようで広町の森が撮ってある。広町の森でも山道を登ってから七里の住宅街にある藤棚のある公園に寄っている。そこから江ノ電に乗って長谷へ。当時長谷駅近くにあったかうひいや三番館で珈琲を飲んでから、由比ガ浜通を歩いて鎌倉駅へ。江ノ電で江の島に戻る途中も車窓からずっと写真を撮っている。自転車に乗って帰る途中も撮っている。いまはこの半分くらいで切り上げるだろうな。
 そんなこともあり、夕暮れ時になってからカメラを持って茅ヶ崎の海へ行ってみたのだった。かといってそんなに気に入る写真が撮れたわけではない。
 家に帰る途中で中華料理のMで「鶏肉と長芋とズッキーニの黒豆炒め」を食べた。
 この土日は家族の女性陣はどこぞに出かけていて不在だった。