会社がお盆休みだった八月の中旬は、関東はずっと雨模様の天気で、最初に一泊だけ京都に行ったものの、予定していた家族との信州旅行は私事都合で中止としたので、せいぜい横浜トリエンナーレに行ったほかはその日の気分でなんとなく自分の家のある湘南で過ごしてきた感じ。そのうちの何日かは、藤沢の湘南Tサイト、蔦谷書店を核にスタバやアップルショップ等々の店が入っている文化系向けモールって感じの場所に行った。早起きなので、モールがオープンする午前八時を狙って、満を持してから自家用車を運転して出発してもときにオープン前に到着してしまうから、ほんの十分くらいだが、駐車場に停めた車のなかでオープンを待っていたこともあった。開店直後は客も少なく、スタバで買ったコーヒーを持って、ソファー席に座ると、読みかけの本を一時間か二時間読んでいた。店内にある売り物の本も三冊までは持ってきて良いらしいが、そうはしなかった。平日は二時間だっけかな、駐車料金も無料だか、書店に行くとついつい本を買ってしまう。その結果として、自分の部屋には蔦谷のブックカバーをまとった文庫版や新書版などの本が五冊、六冊、積まれてしまった。
そこでこの在庫を削減しようと、ここのところ意識して読書時間を増やしているが、そうはいっても若い頃のようには行かない。まだまだ溜まっている。
そんななかの一冊が大竹昭子著の「間取りと妄想」という短編集で、それぞれの短編小説の舞台となっている家の間取り図が掲載されている。間取り図があることで小説を読むのはなかなか面白くなる。でも間取り図がないと、そこに書かれた文章で説明されている情報だけでは間取り詳細はもちろん読み取れない。すなわち文章だけで勝負している当たり前の小説に対して、間取り図を載せることは、ある意味純粋小説であるか?と問われると禁じ手なのかもしれない。
 だけど、禁じ手がどうかなんて拘泥しないし、フォトルポルタージュのように写真が補足する文章だってそうだし、だからこの小説集はすんなりと読めた。
 この秋にTABF2017(トーキョーアートブックフェア2017)にニセアカシア発行所はまた出店予定で、そこに間に合わせる新刊のための写真を、ここのところ休日になると過去のデータを見直して選んでいたが、今の私の選択眼のせいか、以前から撮るときにそこに目が向いていたのか、家を撮った写真が多い。過去の写真と言うのは2010年ころから今年までのを全部しらみつぶしと言うわけでなく、適当に見直しているのだが。
 家(建築)が好きで、だからこの本も余計に面白く感じたのかもしれない。開催中の「日本の家」展もすごく面白かったってことは何度かこのブログにも書いた通りです。
 この写真は数年前に東北新幹線に二階建て車両が走っていたころにその二階の窓から撮ったものです。以前もこのブログに使ったかもしれない写真。

間取りと妄想

間取りと妄想