始まりの庭 鈴木康広


 朝、7時前に起き、ふと思いついて、先日のTABF2017のとあるブースに置いてあったフライヤーで開催中であることを知った鈴木康広展「始まりの庭」を見に行くことにする。場所は箱根の彫刻の森美術館。
http://www.hakone-oam.or.jp/specials/2017/spontaneousgarden/
7時20分に出発。道は空いていて、ナビの到着予想時刻は8時20分と出る。これでは早すぎる(開館は9時)ので、西湘バイパスを使わずに国道一号線を選ぶ。結局はそれでも8:40分前には到着した。10分前から入場券販売の列に並び、早々に入場する。
 部屋に張り巡らされた銅管の中に冷水を流し、より暖かい室温との温度差により銅管に水滴ができる、その水滴が落ちることを使って、例えば「水の切り株」の年輪を作ったりするような仕掛けになっているが、開館したばかりかまだ銅管から水滴が落ちていないのがやや残念だった。
 しかしその「空気と水の庭」のあとの「反転の庭」「見立ての庭」に並べられた各作品の面白さといったらない。含み笑いや微笑、一人で見ていても笑ってしまう。「軽さを測る天秤」は水槽のなかで水槽の底から沸いてくる泡を受ける二つの皿が天秤をさかさまにした形で設置してある。あぶくの出る量の差から、一方の皿がもう一方の皿より早く泡(=空気)を貯める。そのアンバランスから天秤が傾くが、溜まった空気が皿の容量を超えるとバランスがくずれて・・・三分か五分か、ずっと見ているのが楽しい作品。「理想の色鉛筆」は真白の色鉛筆がたくさん並んでいるところにプリズムを使って作られた虹のヒカリがスキャンしていく。理想の色を垣間見るということらしい。「ファスナーの船」はファスナーの把手部の形の船を作り池や海を走らせる。航跡が二つの線を描くようにできているので、航跡と船を合わせてみると本当にファスナーのようだ。「りんごの天体観測」はりんごの実の表面にある点を星に見立てた作品。見立ての作品のビデオが流れているのを見ると、赤瀬川原平トマソンのようなウィットを感じる。そしてこれだけのたくさんの見立てを集めることができる自由な視点が素晴らしい。
 入口や二階会場にA3の作品解説(わら半紙(?)。手書き説明が書かれたもののコピー)が置かれている。これを見ながら鑑賞するのが良いと思いました(じゃないと意味がわからないまま通り過ぎてしまうかもしれない)
 でもって帰路はさすがに少しだけ渋滞。写真は塔ノ沢温泉と湯本温泉のあいだにある橋です。なにかに見立てられるかしら。
 帰宅後、1990年代に月例コンテストモノクロ部門の選者が須田一政さんだったころのアサヒカメラ誌を整理する。すなわち須田さんのセレクトしている月例ページとグラビアで気になる作品があるとそのページを切り取ってあとは捨てることにする。
 以前、須田さんの言いたいことは、選者だったときのセレクト写真を見れば一目瞭然でわかる、とIさんが言っていた。それを聞いたあとで平塚のブックオフで90年代のアサヒカメラがたくさん並んでいるところに行き当たり買ったもの。