傍観


 飛行場に着陸した飛行機の客は、どこへ行くのか、どこへ帰るのか。到着ロビー(出口)まで、飛行場のなかを同じ飛行機に乗ってきた客が、なんとなく長い列になって速足で歩いていく。それが、ロビーに出ると、あちらこちらに散っていく。展望デッキに寄ってみる。夜の飛行場の景色を眺めるのは好きです。寒いけれど、暖かい。もう違う季節に憧れるのはやめて、今がいい。それからリムジンバスに乗って帰る。暗いバスのなかで多くの客がスマホを手にしている。数年前にはスマホ依存の社会を否定的に捉えていたかもしれないが、いつの間にか暮らしの標準が変わっている、それを肯定してしまえば、スマホの画面の明かりがほんのり照らしている人々の顔は、かけがえのないスマホが掌にあることで安らいでいる。
 というのが木曜の夜のこと。

 金曜は会社の忘年会。二十代〜三十代の男子中心8名に、なぜかおじいさんの私が一人まぎれて二次会のカラオケに付いていく。よく知らない曲で、踊りながらノリノリになっている連中とは20%くらいしか一緒になれない感じ。あとの80%でこの状況を俯瞰した位置から傍観している感じ。