川沿いの桜


 日ノ出町から桜木町まで、大岡川沿いの桜並木を眺め、野毛の街を抜けて歩いた。昼頃。夕方までに開花はずいぶん進んだことだろう。昼頃は、まだ満開までには至っていなかった。例年通り、桜の写真じゃなくって桜を見に来ている人の写真を撮る。屋台のお好み焼き、食べたかったけれど、一人だったし、食べなかった。
 でも一人で飲んで食べているおじさんやおじいさんも少なからずいましたね。コップ酒とちょっとした料理と飲みながら、静かにしている男。行き交う家族連れやグループをなんとなく眺め、走って行く赤い電車をなんとなく眺め、桜の花をなんとなく見上げる。
 なんかね、ちょっとそういう風情で静かにいるおじさんあおじいさんになってみたい気がした。写真なんて撮ってもぜんぜん意味がないんじゃないか、とふと思いがかすめるが、すぐにまた写真を撮っている。
 季節がころって変わったなと思います。21日はとても寒かったし雪もふったけれどあれはなごり雪だったわけか。最後にころって一目変わるさいころのように季節が動いた。
 新しい季節に馴染めるように。