山を越える


 昨晩までは、今日は安曇野の岩崎ちひろの美術館に寄ってから帰ろうと思っていたが、まてよ、そういえばここは戸隠神社に近いのではなかったか?などと今日になって急に思い出して調べてみる。霧雨のなかだった。戸隠神社には五つの社がある。いちばんよく知られている奥社と言うところは荘厳な杉並木の道を40分だか歩かないと着かないらしいが、そんな時間をものともせず、素晴らしいらしい。という俄か勉強をしてナビに奥社を入れたが、朝の10時前なのに奥社あたりの駐車場は満車となっていて、では次にどこに停めるべきか?まで詳細に調べてこなかったままにずるずると進んでいくと、中社も満車で、そのすぐ先に有料は空いているようだったが、位置関係が判らず停めるべきか判断できないまま、黒姫の方から来ると一番奥の、宝来社まで行ってしまった。そこでやっと車を停めて、傘をさして参拝。奥社と言う行けなかったところと、行けなかったから比較はできないが、この宝来社は素晴らしかったですね。霧雨にけぶる空に向かって杉の大木がぐーっと何本も伸びて森を作っているその真ん中に長い急な階段があって、それを下から見あげるだけで、なんだかわからないがスゲェーって思うわけ。そして雨に濡れた石段に滑らないようにと、手すりを持ってゆっくりと上って行く。本殿は戸隠神社のなかで一番古いものと書いてあった。きっと晴れていれば木漏れ日の中を上がっていき、くっきりと美しい神殿が聡明に見えたのだろう。霧雨の中を上がっていくのは、これはなんていうか深淵で神聖。時間が見えるような。
 また蕎麦を食べる。宝来社の階段のすぐ下にあったおばちゃんたちがやっている小さな蕎麦の小屋のような店があったので入ってみる。ざるそば850円で、天ざるが980円。引くと天ぷら代が130円に過ぎない。のだが、今日は、昨晩と今朝のホテルの食事が美味しすぎて満腹だったのでざるそばだけにする。
 戸隠神社から安曇野の方に行くことに。高速を使わずに山間の一般道を進む。これも四十年くらいまえに友人と単車でツーリングしたときに寄った、水芭蕉が有名な鬼無里を通過していく。道幅が細いくねくね道をゆっくりと進む。ときどき後ろに車が迫るから、二度か三度、先に行かせる。
 安曇野では野菜直売所に寄り、地酒の大雪渓の直売所っていうのがあったので立ち寄り、以前行って居心地が良かったチルアウトスタイルコーヒーで珈琲を飲んで読書。結局、岩崎ちひろの美術館には立ち寄れなかった。。

8/12のこと。日曜美術館を付けたら、なんと特集が岩崎ちひろだったので、驚いてしまった。いま東京ステーションギャラリーで生誕100年の展示をやっているそうです。番組ではちばてつやのインタビューや高畑勲が生前に語ったちひろについての話などが挟み込まれていた。いままで岩崎ちひろのことなど興味を持ったこともなかったので、この偶然(行ってみた観光地でちひろの絵と別荘を見たその二日後にテレビを着けたらちひろの番組をやっていた)に驚く。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201807_chihiro.html