石川直樹 この星の光の地図を写す 展

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 石川直樹さんには大変失礼なことなのだが、ときどき、石川直樹って写真家としてどうなの?という疑問の声を聞くことがある。

 オペラシティーアートギャラリーで石川直樹「この星の光の地図を写す」展を見てきた。石川直樹は冒険家である。写真家としてどうなの?と言うまえに、冒険家として「その場所」へ行くことが並大抵ではない。冒険家×写真家の組み合わせの総合点数では圧倒的に抜きんでているに違いない。また、彼は、一か所にとどまらないで、太平洋を南へと島を辿って下り、アラスカの町に行き、エベレストに登り、富士山に行き、沖縄の祭りを取材する。すると、どこかをじっくりと撮っている写真家にしてみれば、石川直樹が表面を掬い取って通り過ぎて行ったと思うかもしれない。よくT型人間とかI型とか、ビジネス書や、なんて言うの?自分自身の成長を促す啓蒙の本、とかで目にするが、石川直樹はTの横棒がぐーっと広い気がする。写真も、スナップ的な視点でぶれていたり、地平線が傾いていたり、動きが見えるものがあるかと思えば、しっかりと三脚を据えて、高精細に風景を再現しているものがある。かと思えば、学術的な資料になりそうな壁画の記録などが混じる。良い言い方をすれば、定まらずその場に応じて対応を選択しながら、自由奔放に疑問を突き詰めながらあちこち飛び回り、写真もその場を前にして、自分の手法というより、その場にふさわしい手法を選択して、臨機応変に撮っている。その分、らしさ、のようなことが少なくて散漫な印象があるかもしれない。その散漫さ、カメレオンのような七変化をするような感じが(実は高い視点で括れば頑固なくらい一徹なのかもしれないが)「どうなの?」「通り過ぎるだけ」と思わせるのではないかな、などと思いながら写真を見ました。

 その広さと自由さを広く受け止めると、石川直樹の写真の見方がわかってくると思えた。

 自然に対して真摯だと思いました。

 写真は石川直樹展と関係ないただの街角スナップです。場所は大森。