駒場東大前付近

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暖かい秋の日が続く。渋谷から井の頭線に乗り、駒場東大前駅で下車。公開されている旧前田家邸宅を見学。たぶん、一番客で、ゆっくり見て回る。ここに前田家の人々が暮らしていたころの家族スナップ、古い白黒写真に、広大な庭に雪が降った日、子供たちがスキーで遊ぶ写真があった。写真は昭和初期のものだったかな、東京もいまより雪が積もる日が多かったのだろうか。いや、いまだって、三年だったか四年だったかな、何年か前に雪がずいぶん降る冬があった。

写真に写っている子供たちが付けているスキーがどんなスキー板だったのか。前田家といえば金沢で、その金沢市は私の父の実家がある市で、いまも叔父や従兄弟が住んでいるが、ほとんど行き来する機会がなくなってしまった。私が子供の頃は、もちろん、金沢によく行っていた。1960年代前半、冬に金沢に行くと、市内には雪があり、従兄弟たちは手作りなのだろうか、それともそういう簡易な子供むけのスキー板を売っていたのだろうか、竹スキー(板)を履いて叔父さん家の前のちょっとした坂道をすいすいと滑って遊んでいた。もちろん私も誘われてそれを足に付けて(長靴の先端をちょっと板に取り付けた紐にくぐらすようなものだったのだろうか)やってみたが、竹スキーで遊び慣れている従兄弟たちのようには滑ることが出来ない。そんなことは当たり前で、だから習って練習すればいいのに、どうも子供の頃からプライドが高かったのか、従兄弟たちに劣るのが悔しくて自分だけ叔父さんの家に戻ってしまった。そんなことを写真を見て思い出す。窓から見える外の大きな木々に紅葉が始まっている。

日本近代文学館内にある「文壇カフェ」に行く。下の写真。居心地いいですね。店内の本、適当な雑然さで本棚にぎっしり、ちょうど座った席の背中側の本棚には、以前読んだ本がけっこうある。あるけど、いちいちの本の中身はあんまり覚えていないな。

本を読むことは大事だと言われる。そこから学ぶことも多いだろうし、なにか考えるきっかけになったり、興味を持つものに出会うこともあるだろうな。でもこんな風に読んだことのある長編小説や短編小説のその物語のあらすじをなにも覚えていない場合、過去にその本を読んだことによって自分にはそういう効能?はなかったってことなのかな?じゃあ、本を読むことに時間を使う意味は、単なる暇つぶしだったり刹那的にエンタテイメントに浸るってだけで上記のような効能とは関係ないんだろうか。などという稚拙っぽいことを考える。

帰り道、近くの集合住宅で清掃作業をやっている。高い木の枝を切って整えている。暖かくて日が射しているなかで、そんな日常風景が愛おしく見えるのだった。

午後、銀座の映画館で「スパイの妻」を見ました。

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