早朝の海

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晴れた朝のきらきらと輝く光景もいいけれど、この季節の、薄曇りのフラットな光線の光景も悪くないな、と思った。釣りの人はずいぶん朝早くから来ているようだ。イヤホンをするわけでもなく音を出したAMラジオを持って歩いている初老の男性とすれ違う。ラジオの音が私の耳にも届くのは数秒のことだけですぐに男は遠ざかり音は聞こえなくなる。それでも一瞬聞こえたラジオパーソナリティの、何を話しているのか内容まではもちろんわからないその声が、それでもそれがラジオの音だなぁと思うのは何故だろうか。しばらく歩くと今度は十人以上の年配の人たちが集まっている。彼らの真ん中にもラジオが置かれている。ラジオ体操の時刻となり、皆が一斉に両手を伸ばした。ひとつの枯れ木にホオジロが三羽止まっている。私が近づくと二羽は飛び去り、いちばんてっぺんでずっと鳴いている一羽は私には構わずずっと鳴き続けている。途中から国道沿いを歩く。大きな魚の魚拓が張られている釣り道具やはまだ開店していない。ガソリンスタンドには、給油をする車が次々に入って来る。もう通勤ラッシュの時刻になりつつある。早くも洗車をしている車もいる。欧州の車だろうか、なんとなく光景も欧州っぽく見えるのだった。

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