針が飛ぶ

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前々回のこのブログに書いたように、レコードプレイヤーを久しぶりに復活させようとしている。ミニコンポ用のアンプではレコードの再生が出来ないのでフォノイコライザーをアマゾンで購入してみた。それで音が出るようになったので、たまたま取り出しやすいところにあったチック・コリアゲイリー・バートンのデュエット(ECM)、今田勝とジョージ・ムラーツのアローン・トゥギャザー(TBM)を使って再生をしてみる。ところがすぐに針が飛ぶ。とくに大きな傷があるとは思えないのに針が飛ぶ。そこで、もう一度、なんとちゃんと保管してあったプレイヤーの取り扱い説明書に従って、トーンアームの平行調整や針圧調整をやり直してみる。そのうえで、この写真に写っている(これも数年前に買っておいたけど使ってなかった)カートリッジは2~2.5gの針圧を推奨しているものだが、それを2.8gぐらいまで上げてみる。すると、レコードを置いて、一曲目の始まる場所(LPレコードの一番の外周部)から再生を始めると、この写真の位置くらいまで針が飛ぶことなく再生が出来るようになった。ところが、針が、このレコードの中心により近くなった、片面の最後の曲あたりまで行くとやっぱり針が飛ぶ。そこで調べると、トーンアームをこの溝をトレースするために外周部から内周に向かって回転するその軸の摩擦のような感触が、外周付近から内周に向けて、スムーズに回転していくのに、この位置まで来ると、ちょっと重くなり、その重さを乗り越えるとまたふっと軽くなる、そういう不具合があるようなのだった。これは回転軸になにやらゴミのようなものを噛んだり、回転軸に傷が出来たり、あるいはある回転位相でだけグリスが切れるとか、なんらかそういうことが起きているらしい。グリスが馴染めば治るかと思い、手で何度もアームを外周位置から内周位置、内周位置から外周位置と、繰り返し移動範囲を行ったり来たりしてみるが、少しその位置の「重くなる」程度が軽くなった気がするものの、針がその位置まで行くと、その重い抵抗感に抗して、溝の案内だけでは内側に回転することが出来なくなり、結果、針飛びを起こすのだった。上記のデュエットと言うアルバムだとB面でいえばラ・フィエスタの佳境のところあたり、アローン・トゥギャザーで言えば、リリカルな佳曲であるリメンバー・オブ・ラブの途中あたりで。

大学生の頃には、夏休みや年末年始や春休みになると、名古屋の下宿から平塚市の実家まで帰省していたが、その名古屋にいるあいだに欲しいLPレコードをメモしておいて帰省したおりに平塚市レコード屋や都内の輸入盤レコード店まで「レコードの買い出し」をしたり、あるいは、名古屋の下宿にはレコードプレイヤーがなかったとにそれなのに名古屋市内でLPレコードを買って、そういう帰省のときに実家まで持ち帰って、そのようにして購入したレコードを実家にはあったプレイヤーでまとめてカセットテープに録音しては、名古屋に持って行っていた。

札幌や松山で学生生活を送っている友人たちもそれぞれ多かれ少なかれLPレコードを買っていたが、さすがに私のようにプレイヤーのない環境でLPレコードを買ったりはしていなかっただろう。彼らが札幌や松山の部屋にプレイヤーを持っていたのか私と同じ環境だったのかはわからない。

いずれにせよ、そのカセットに録音する作業のときは、何人かの友人が集まって、自分の買い集めたレコードだけでなく、友人が買ったレコードもテープに録音していたと思う。いまのようにメールやらその他の即時通信手段はなかったから(電話だって下宿していた部屋のある大家さんの家に借りに行くか、硬貨をためて公衆電話まで行くか、と言うことで、やはりそんなにすぐに使えるものではなかった)、そういう友人が何のレコードを買ったのか、情報交換はできないのに、持ち寄ったLPレコードがだぶることはなかった気がするな。

スリー・ブラインド・マイスレーベルの日本のジャズのLPは何枚もカセットテープにしたものです。上記の今田勝とジョージ・ムラーツのデュオは私が買った。山本剛トリオの何枚かのLPは友人のK君が買って、それを録音させてもらった気がするな。上記のように針が飛んでしまうB面最後のリメンバー・オブ・ラブと言う曲は、大好きな曲だった。私はトリオやカルテットやクインテットの演奏よりも、デュオという演奏形態が好きらしい。こういうのは持っているレコードやCDを見まわすと「結果として」わかる。三人、四人、五人で話すのも悪くないが、例えれば個室でリラックスして二人で親密な会話をしている方が好きなのだろう。

 さて、レコードプレイヤーのこの回転軸の摩擦不良に起因していそうな不具合はどうしたものだろうか・・・勝手にグリスを追油することもなにが起きるかわからないし・・・。ちなみにプレイヤーは1983年頃に買ったヤマハのものです。

それから今田さんはいまはもう80代になられたようだけれど元気なのだろうか。80年代に当時山下公園の近くのビルの四階か五階にあったシカゴと言うライブハウスに何回か行ったことがあった。そこによくフュージョンを演奏している今田勝グループが出演していた。アンダルシアの風、とか。