朝の音

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だいたい目が覚めるのが日の出の少し前って感じで、このひと月くらいのあいだに、その起きたときに聞こえる音が様変わりしている。あ、大前提として部屋の窓を開けて眠ります。ひと月くらい前には圧倒的に鳥の声が多かった。四分音符三つならべて音程がミ・ファ・ソと繰り返してなく鳥は、その鳥の種類に特徴的な鳴き方だったのかその個体がこのあたりをテリトリーにしていて毎朝鳴き声を聞かせてくれていたのか。渡り鳥が遠くに渡って行って鳥がいなくなり鳴き声も聞こえなくなったってことなのかな、と思ったが、調べるとまだ渡りの季節ではないように思える。この写真を撮ったのは6時前に早朝散歩をしたときだけど、このこれから早々に家が建つんだろうという写真を撮った場所に来る前に電線を見上げると、ムクドリヒヨドリみたいな鳥はちゃんと数羽並んでとまっていた。すると鳥はいるけど囀りが減ったってことなんですかね。繁殖期とか子育て期とかそういうのと関係があったのか。いまは鳥の声はほとんど聞こえない。一方コオロギの声は盛んになっている、夜寝る前にも盛んに鳴いている、朝起きるときも盛んに鳴いている。朝がちょっと進むとその量は減ってくる。二十年くらい前まではマンションの南側に住宅街の中の小さな田んぼが残っていて春から初夏になるとサッシを閉めていてもうるさいくらいに蛙の声が聞こえたものだ。蛙はどこかに移動していったというよりある日重機が入って田んぼが埋め立てられてそれで一斉に死滅したのだろうか。それとも土に隠れていたのがじわじわと移動できたのだろうか。鳥の声や蝉の声が減ってしまい虫の声はそんなに大きくはないから、結果として人々の生活音が耳に届くことが多くなった。話している内容なんかはわからない。咳払いとかが聞こえてくる。人の生活音がするとなんとなく「暮らし」って感じがする。いや、鳥の声の聞こえる朝だって日常の暮らしの中なんだけど。町の中の暮らしといえども人の立てる音よりも鳥や蝉やコオロギの、すなわち人の分類的には「自然の」音の方がやっぱり良い。それにしてもなんで鳥は鳴かなくなるんだろう。