散歩

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11月最後の土曜日、茅ケ崎市内を散歩。高砂緑地の池の脇の楓はだいぶ赤く色づく。あと数日で真っ赤になるのだろう。スペシャリテイーコーヒーのスタンドでコロンビアを飲む。最初はすっと飲める味だが飲み込んだあとに苦みが残るが、飲み進むうちに酸味が立ってきて、苦みは引いていく。店主が「カメラを持ってどこへ?」と聞いてくるので「その辺の散歩ですよ、別段写真を撮る目的があるわけでもなく」と答えると「高砂緑地は行きました?」と。「はい、いま立ち寄りました」と答えると「池の石で亀がひなたぼっこをしていてのんびりしていますよね」とおっしゃる。私はいま、その池の横で楓を眺めたが、亀はいただろうか?いたにしても気が付かなかった。たぶん、いなかった。そう思い返しながらも「はい、のんびりしていて・・・」と答える。また歩く。その先の最近に店内を改装して角打ちコーナーが作られた酒屋へ寄ってみる。女性客が一人、カウンターに寄りかかり、昼飲みを楽しんでいる。神奈川県海老名市のいづみ橋の雪だるまラベルの新酒、どんな味なんだろうか?この酒屋には全国各地のお酒があるけれど、松みどりや残草蓬莱やいづみ橋や天青、神奈川の地酒も置いてある。ラベルを眺めるだけで楽しい。茅ヶ崎駅を南から北へ。書店に寄る。長嶋有の新しい文庫本、手に取るが積読本を増やしても仕方ないな・・・と購入を踏みとどまる。なのに、店を出るときには「つげ忠男コレクション~吉田類と飲む」というちくま文庫の漫画を買っていた。最初の作品「ある鯉の話」だけ読んでみる。暢気そうな日々にも不思議で不気味な束縛があるってことだろうか、作品を読むとそんな風に思う。スナップ写真を撮ると日常の光景のようであっても「異界の入り口が垣間見える瞬間」が写るのだろうか。須田一政はじめ、そういう風に評価される写真家は何人かいるだろう。でもこうして載せた私の撮った写真はただただ晩秋の晴れた休日の光がのほほんと写っているだけだろう。本屋を出て、駅から家の方へ向かうために、商店街を歩く。ずいぶん人出が多くなった。やがて国道一号線の交差点に。渡って左側にある床屋の隣のワインとイタリア風創作料理の店は、2500円コースで毎晩必ず満席だったが、改装をしている。それが店が閉まり新しい別の経営者の店に変わるための改築なのか、前のままの店が改築をはじめたのかは分からない。でも壁に書かれていた店名が消えているから、きっと前者なのだろう。コロナの影響で経営が立ち行かなくなったのか?などと勝手な想像をしてしまうこと自体が不遜なことかもしれない。そしてその道向かいにあった引き戸のガラス戸に夏目漱石の顔のイラストが描かれていた古本屋、たぶんここ何年か営業はしていなかったと思うが、その店のあった場所は更地になっていた。町は少しづつ変わっていく、くたびれた建物が、新しい店に変わっている。今日はこのイタリア風創作料理の店と古本屋だけでなく、そんな変化を何か所か見た。それを惜しいと思う気持ちが強い。別にそこによく行っていたわけでもないのだけれどなんとなく変化を望まない気分なのかもしれない。きっと若いころは、今度はどんな店が出来るのだろうか?とワクワクした気分の方が勝っていたのではないだろうか。14時から始まる湘南ベルマーレと徳島ボルティスの試合を見るべく、その30分前には家に戻る。試合結果は応援していた湘南は負けてしまい、いよいよ来年のJ2陥落の危機に瀕してしまった。そんなスポーツの出来事も過ぎてしまえば秋の風物詩の2021年の一つの出来事になるのだろうけれど、今日のところはかなりがっかりしている。引き分けでも事実上残留が決まる湘南のディフェンシブな気分と、勝たないとあとがないという徳島の割り切った気分が、それでも慎重に過ぎた前半を終えて、後半にその気分(思い切りの良さと受け身の弱さ)が試合に現れてくる。それでも0-0で終わる確率は高かっただろうが、局面で起きる結果は確率に支配されていて、その確率が徳島に一点をもたらす。そこから先は、今度は徳島にディフェンシブ気分が働き、湘南が攻勢をかけるだろう・・・と思ったが、徳島は引かずに積極的な守備を展開できた、この一点先取後の徳島の試合運びが命運を決する最大のポイントだったのではないか。などと試合後に考えてみる。そのうちに外はすぐに暗くなる。なんだか散歩してサッカーを一試合見ただけで一日がさっさと終わった気がするな。長い夜に読書をしたりも出来るだろうに、その時間に何かしよう!と思えない。ま、思えないままこうしてブログを書いてはいるわけですが。照ノ富士は強いなあ。阿炎は惜しかった。

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