もう散る寸前

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楓が赤く色づいていた。逆光で見上げると葉は赤く光ってきれいに見える。順光の方から見ると葉はその先端部がすでに乾燥して薄茶色に色が変わっている。赤も順光側からだと真紅というより臙脂色に見える。もう数日すれば葉はすべて散るのだろう。

葉を落とすと陽射しは地面に届き、冬の木の下は明るい。南関東の冬は乾燥していて放っておくと乾燥肌であちこち痒くなるし、唇もがさがさとなる。

小学校の4年生か5年生のときに、クリスマスプレゼントとして両親から(サンタクロースから?)トランシーバーを買ってもらった。25日は日曜日で、朝から早速そのトランシーバーで交信を試してみる。相手を父にしてもらったのか、誰か友達を呼んだのか、わからない。その交信が混線した。そして混線して聞こえた声が、近所の友達のI君とS君のものだった。あとで確認すると、クリスマスプレゼントに私だけではなくI君もS君もトランシーバーを買ってもらったのだった。ではそれだけトランシーバーに人気が集まる何か理由があったのか?子供に人気のテレビドラマに使わるとか?いや、そんなこともなかった気がする。ただトランシーバーというものが少年にとって「かっこいい」のだったのだろう。

この思い出話なんてものは、このブログにも以前に書いたかもしれない。何十年も生きて来ても思い出話がたくさん溜まってるわけでもない。たいした数ではないだろう。

別に敵対する少年グループがあったわけではないけれど、I君やS君や私の「仲間」のグループは仮想の敵対グループのために、暗号を考えようとしたり、秘密基地を作ろうとした。トランシーバーで話すことはそれほど流行らなかった。やはり少年のあいだでは「狼煙」とか、ペコペコ音を立てるドラム缶の蓋のペコペコをどう鳴らすかで暗号にしたり、そういう(いまでいう)アナログチックな手段の方が秘密めいていた。

冬の乾燥した明るい(でも寒い)日についてはこのトランシーバーの話が思い出される。

明るいけれど、特に午後の時間はとても短く、すぐに夕方と夜がやってきてしまう。だから・・・