十年前の祇園祭 拓郎のこと

 十年前の七月の写真を見直していた。理由はこのブログに載せたい最近作がちょっと枯渇気味なので、古い写真ストックになにかないかを探しに行ったのです。そうしたら祇園祭の写真が出て来た。

 暑い日でしたね、屋台がずらっと並んだ通りは、どこだったんだろう?烏丸×姉小路西入る?もう人がぎっしりでどこにも進めない感じで、こりゃまさにおしくらまんじゅうしているだけで、抜け出せないぞと焦った。でもそれはもちろんいつかは抜け出せた。それから京都のどこかの芸術系大学の生徒たちが自分たちで作ったというTシャツを売っているギャラリーのような場所の前をたまたま通り、そこに入ってTシャツを一枚買いました。なんと、今日、こうやって写真を見直す前、シャワーを浴びたあとに着たのがその10年前に買った着古したTシャツそのものでした。偶然。そのTシャツのことはこのブログにも書いたことがあったと思うけれど、人類がはじめて月に降り立ったときの写真を黒い線画にして、黄色の中に置き、その上に赤い字でMan on the Moon,that's one small step for a man,one giant leap for mankind.と書いてある。Tシャツはこういうふうに買ったときの思い出なんかが付きまとっているとなかなか捨てられない。どうしても捨てるときは悲しいものだ。

 

 話変わって。さっきまで久しぶりに付けた民放のテレビで吉田拓郎が芸能活動?歌手活動?をおしまいにする、その最後に出演する番組をやっていた。高校大学と吉田拓郎を信奉していた者として、少し複雑な気持ちで、録画はしたものの最初は見ていなかったが結局途中から見てしまった。まぁでも特段「さよなら放送」でお涙ちょうだい的に盛り上げる仕掛けもなかったようで、それが良かったです。

 一番人気があった70年代後半のCBSソニー時代のアルバムは15歳から19歳の頃に聴いていたわけで、それはもうヒット曲の歌詞というだけでなく、大人になるための人生を学ぶための教科書のようだったんだろう。恋の歌も、若い決意の歌も、社会に問題を提起する歌も。ガラスの言葉、花酔曲、金曜日の朝、などはちょっといかしたメロディラインで。高円寺、君が好き、君去りし後、などのブルージーな。人生を語らず、知識、などのシャウト。春の風が吹いてきたら、の純正フォーク調。旅物の、襟裳岬、竜飛崎、都万の秋、旅の宿。落陽も旅物かな、旅物の曲は、旅人が初めての町を知り、驚き、なじんでいくような、まさに旅のスケッチと言う感じでほっとする。

♪竜飛崎よ、どてっ腹を、ぶちぬかれちゃったね♪

の、ちゃったね、のメロディが好きですね。ちゃあったねと聞こえるところ。

 その後80年代90年代ともう拓郎の新譜を新たに買って聴くことから遠ざかって行ったが、00年過ぎてから聴いていなかったアルバムも遡ってまた聴くようになった。「吉田町の唄」という92年アルバムがあり、これは名作ですね。夕映え、想ひ出、海を泳ぐ男、僕を呼び出したのは、この4曲はほんとかっこいいと思う。95年の「ロング・タイム・ノー・シー」に入っている中島みゆきが作った「永遠の嘘をついてくれ」では、若かりし頃、世界を股にかけて成功するぞ、革命するぞ、成り上がってみせるぞ、等々と夢を見た60年代70年代に青春だった若い(反体制の)連中が、50歳60歳になって、どうしているのか?どうか皆、あの夢は破れたなんて、そんなこと、嘘でもいいから言わないでくれ、本当は夢破れ地に倒れて涙に暮れていたとしても、絶対に最後までかっこつけていてくれ、そういてくれることが俺たちみんなの最後の意地だろう、という感じの歌詞でほんと泣けます。

 このアルバムに入っている「淋しき街」という曲もいい。

♪君が求めているのは僕じゃない 僕は誰かの代わりになれやしない♪

 03年の「月夜のカヌー」の「花の店」や「白いレースの日傘」は50代になった拓郎の心情が素直に歌われている感じがして。

 ほかにもいろんな曲が頭の中を流れるな。「流星」「おきざりにした悲しみは」「シンシア」「春を待つ手紙」「明日に向かって走れ」・・・あげだしたらきりがないです。

 祇園祭の写真を使ったので吉田拓郎作曲/岡本おさみ作詞の「祭りのあと」より

♪ 祭りのあとの淋しさが いやでもやって来るのなら 祭りのあとの寂しさは 例えば女でまぎらわし もう帰ろうもう帰ってしまおう 寝静まった街を抜けて ♪

男主語の女性蔑視的な感じもある時代遅れの歌詞かもしれない。でも女主語でまぎらわすのは男という場合もあるかもしれない(女性ではないのではっきりわからないですが、たぶん、女性にもあると思う・・・)。結局、人は祭りのあとの淋しさを一人で過ごすのはつらくて、誰かを求めるんですかね。スマホがあって、すぐに連絡が出来ても、実際に近くに本物がいて欲しいって、いまの若い人もそうであれば寧ろとても安心します。

肝心の鉾や盾を撮ってないんですよ、あんまり。どうしても人のいるスナップを撮ってしまう。このすぐ上の写真は、向かいの家の二階あたりにカメラマンがいて宣伝用の写真でも撮っていたのか、それとも本当に偶然に演出なくこういう場面だったのか?

これが祇園祭の夜に買ったTシャツ(写真はその翌日に撮ったもの)。上記の通り、今も着ています。

 

Long time no see

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月夜のカヌー

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  • アーティスト:吉田拓郎
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