木陰のベンチ

 昨日のブログにも書いた場所、湘南平にある大きな木。向こう側はもう海が眼下に広く見渡せて、だから、ほかの木が背景に重なって見えず、この木の全体の姿がよくわかる。上の写真でも右の方には微かに海の水色が見えている。この写真の一コマ前にはこれより2/3段露出アンダーで撮った写真があって、それを見るとくっきりと水平線が見えるのだが、その分、木の枝や葉の光と影がもっと黒くつぶれている。どっちもどっちなのだが、こっちにしておきました。冬になると太陽が昇る位置が変わって、もう少し自分の立ち位置を右に動かせば、木の中に太陽が昇って来る。冬なのに、ちょっと季節感がわからなくなる写真が撮れる。サバンナの草原のなかにある木の樹影のように見えたりもする。この大きな木にはたくさんの鳥がやってきて囀っていく。春から初夏には頻繁にシジュウカラやコガラやヤマガラが数羽の集団になってこの木にやってきて彼らの鳥言葉で鳴き交わしている。この写真を撮った昨日の朝も、種類までは判らなかったが、小鳥が囀っていた。手前に石を組んだ低い塀?(低すぎて塀とは言わないかしら、ではなんと書けばよいんだろうか?囲い、かな)、があって二人の人は上半身しか写っていないが、彼らはベンチに座っている。あの場所に座り、持ってきた水筒から冷たい飲み物を飲み、鳥の声を聞きながら、くつろいでいるように見えた。Spotifyなどで自分の好みの音楽を選んでは流しているかもしれない。鳥にまつわる曲だといい。

 鳥のよく来る大きな木の下でくつろぐ人を見ていたら、写真家浅井慎平の写真集「ISLANDS」に収められている(ほかの写真集にも入っているかもしれない)「バード・ウォッチャーズ・バー」の写真を思い出す。そこでその写真集を引っ張り出して、見てみる。砂浜のすぐに近くにあるらしい大きな木の幹をぐるっと囲うようにバーカウンターが作られている。店名の札が枝にぶらさげてありそこにBIRD WATCHER'S BAR」と書かれている。360°の木製カウンターは、石組の上に載せられていて、カウンターの外側に座面が丸く背もたれのないこれも木でできた椅子が、1m弱くらいの距離を置いて並んでいる。夜になるとライトが点灯する、そのライトが枝の中に写っている。写真は昼間で店はまだやっていないらしく、誰もいない。砂浜にボトルやグラスを持ち込むことは許されてないよ、と書かれたプレートも掲げてある。言い換えると、飲みたくなったら、ソフトドリンクもアルコールも、このバーで飲みなさいよ、ということだ。太い木の幹に打ち付けてあるのだろうか、いくつか棚板があって、ラムのように見える酒瓶が置かれていたり、煙草らしくものが入っているガラスのケースも見える。あとはメニューボードがやっぱり枝からぶら下がっている。オレンジジュースがあるかと思うと、ジンやウォッカもあるし、RED STRIPE BEERという字も読める。葉は厚みのある丸っこく濃い緑のようだ。レッドストライプで検索するとジャマイカのビールで、レゲエファンの定番と書いてあった。するとこの浅井慎平の写真はジャマイカで撮られたのだろうか。

 湘南平のこの大きな鳥が良く来る木の幹の周りにも360°のカウンターのあるバーというかカフェがあると面白いですね。しかも営業時間は日の出の1時間前からせいぜい10:00とかにしてもらって。鳥の声が一番聞こえるからね、というより朝日を撮るカメラマンには嬉しい時間だから。

 そんな出張店舗がたまに出ているとして、冬の朝にはココアかな、ジンジャーと蜂蜜の入った紅茶かな。本当はホットワインがいいけれど、車で来るからそれは飲めない。もちろんエスプレッソでもいいけど、台湾風の朝粥で朝食が取れるのも捨てがたい。

 夏の朝は、アイスのミントティーか。いや、意外と暑いお抹茶も良いんじゃないか。ホトトギスが鳴いた朝は50円引き、カッコウなら70円引きになったり。氷の浮いた冷や麦なども思い浮かぶが、ここは茗荷の入ったお稲荷さんに・・・

 あぁ、ダメだった。そんな屋外店作るとすぐに鳶が狙い出して、すると小鳥も来なくなりそうだ。。。結局この写真のような木陰のベンチで十分なのだろう。

 これはなんの木なのか?榎かな。横に張り出した太い枝を伝ってちょっと頑張ると、一番左よりひとつ内側の左方向に伸びた太い枝が三つに分かれるところまでは登れそうだこのあたりに枝と枝のあいだに木を渡してクッションを置いて、海を見ながらの昼寝が出来るといいな。そこで何をしたいかと言えば、昼寝と読書、写真なんか金輪際撮らないと決めて(←無理)、あとはコロナビールのラッパ飲み(車で来ているんだからビールはだめなのでした・・・)