京都で

京都にひとり旅に来ています。旅に出るのはもちろん楽しみだ。だけど日が迫ってくると、旅を決めたときの高揚とは別に、なんだかめんどくさい気分が持ち上がってくる。これは私の欠点というのかダメなところなのだろうな。ひとり旅ならまだしも、二十代の頃にはグループでスキーに行くとかなんとか、誘われたときは気軽にいいよ~なんて答えていたくせに、いざ日程が迫ってくると、だんだん行きたくなくなる。めんどうになってくる。それで実際にドタキャンしたこともあり、幹事さんには随分ご迷惑を掛けてしまった。そういう気持ちの推移が一人旅のときにも起きる感じがする。それでもとにもかくにも京都に着いた。京阪三条駅近くで京都市営の古い集合住宅を見つけて、写真を撮った。猫がいて、番号が振られた倉庫が並び、渡り廊下の脇に植えられたみかんに実が生り、赤い実をつけた木があり、木漏れ日の影が揺れていた。こんなのは京都に観光に来ているうちに入るのか。どこでもいつもと違う場所に、わたしの好きな被写体があれば気持ちが盛り上がってしまう。京都らしさは特にない集合住宅だ。昼には親子丼を食べた。夜には京都に来ると結構な頻度で行く煮込みの店のカウンターで日本酒をちびちび(一合飲み切れず)しながら、天然鰤塩焼きやら旬野菜やらを食べた。野菜の中はイチヂクがあって、それがちょっと彩りで美味しかった。食べ終わり満腹となり外に出ると、夜だった。京都に来るとたくさん歩いてしまうのは何故だろう。一月も掛けて読んでいた村上龍のMISSINGをやっと読み終えた。本がひとつ終わる。次の新しい本に移る。その隙間にほっとする気持ちが無くはない。本を読むことだって私の嗜好で好きなことだけど本を読み終わるとほっとするのだ。そうだね、旅に出るとはそういうことかもしれないね。夜更かしして店に流れる、すなわち自分で選んでいない音楽を聞くのは楽しいと思う。夜が長く、一日が26時間くらいあればよいのにね。旅に出てるときにはそんなこともよく思う。いい旅をしよう。

 今日の写真はスマホで撮ってます。