赤い実

 秋が深まり冬になっていくこの季節になると赤い実が生っている草や木をよく見かける。硬そうな小さな実が多いが、見た印象だから本当はどうなのかわからない。鈴なりになってものすごい数の実が生っているのを見つけると、驚くけれど、この写真の活けられた枝のように少ない実は儚いけれど、数が少ないことが却って艶やかで、美しい。写真は京都のどこかの道を歩いていて、どこかのショウウインドウに飾ってあった花瓶の赤い実の生る枝。

 赤い鳥小鳥という童謡は北原白秋の作詞。赤い鳥小鳥、なぜなぜ赤い、赤い実を食べた。子供に「なんであの鳥は赤いの?」と聞かれて「なんでだろうねえ・・・赤い実ばっかり食べたのかもしれないねえ」と答え「おじさんの嘘つきー」と言われて、フクフクと笑っている、そんな感じ。白秋自身が笑っている感じ。これは童謡だけど、白秋のそんな思い出の一場面なんじゃないか?とか、なんの根拠もなく、勝手に想像してしまいました。

 干し柿が好きなのに、今年は干し柿を食べていないなと思い、先日駅ビルの食料品売り場に行ってみたら、三個入り600円で売っていたが、干し柿が妙につやつやしていて、粉を吹いたりところどころ硬くなっていたり黒くなっていたり、いかにもどこかに吊るして風と陽射しに当ててひとつひとつ作られたという感じがしない。なんだかなあ・・・と思って食べたら甘くない。地下にある無菌室で人工の光を当てて作られる野菜を思い浮かべてしまいました。お茶でも飲みましょう。