田園を歩く

 湘南地方はJR東海道線より海側(南側)はサーファーの方が多く住み、サーフショップやカフェも多く、なにより海と海岸の風景が湘南らしさを作っているが、藤沢市茅ケ崎市平塚市も、駅の北口の方に大きな商店街があり市役所も北口側にある。そして、商店街とその周りの住宅街を抜けると、住宅と田畑や工場がまだらにあるような街が広がっている。田園と呼ぶにはその領域がちょっと狭いような感覚もあるけれど、自宅からカメラを持って2時間ほど田園の写真を撮り歩く。家庭菜園と、農家の方の畑と田んぼとビニールハウスで出来ている。小さな田園とでも呼びましょうか。人ひとりが歩ける幅だけ地面が踏み固められていて、その両側は草が生えている川の土手道を歩いていると、立ち枯れた葦?のなかからチチチと小さな鳥の声が聞こえる。細い水の流れには鴨やバンが泳いでいて、そこにコサギゴイサギが降り立つ。同じ土手道から川の流れと反対側を見ると、そこからが小さな田園で、土手沿いの田園の周縁を成す道にはこうして葉を落とした落葉樹の影が曲線を織りなして複雑な模様の影を描いていた。11月の日曜日の午前は暖かい快晴の日だった。

 写真を撮るということは、最後は写真とうアウトプットを作りだすことで、そのために、構図を決めたり、露出を振ったり、ボケ味を絞りとシャッター速度を変えて作ったりする。撮るとは写真を作り出す行為だからそれに夢中になって遊べる。でも写真はこうしてブログに使う(最近は写真展もあまりやってないし、だから、ほかには滅多に使わない)だけで、二百枚か三百枚撮っても、一枚か二枚か、せいぜい数枚を選ぶだけだ。それでもまた撮りに行くのは、実は写真成果を欲するよりも、撮っている行為が楽しいってことなんですね。とくにこういう被写体をゆっくり拾い集めるような散歩カメラにおいては。なんていう当たり前のことをまた思った朝の散歩でした。