相談しながら歩いてる

 先週、晴れた日に近くの公園に紅葉見物に行った。紅葉もきれいだったが、山茶花の赤やピンクの花がきれいに咲いていた。カメラのファインダーを覗き露出アンダーにすると画面全体が暗くなる中で、山茶花の花が、一つだけ灯った蝋燭の灯りのように光っていた。
 そんなことを思いだしていたら、童謡の「たき火」が頭の中を流れ始めた。 さざんか、さざんか、咲いた道、たき火だたき火だ、落ち葉たき、当たろうか当たろうよ、北風ぴーぷー吹いている
以上が私がうろ覚えのまま思い出した歌詞だった。
 調べてみると、さざんか、から始まるのは2番で最後は「しもやけおててが もうかゆい」が正しい。あるいは「きたかぜぴーぷー 吹いている」で終わるのは1番で、1番の始まりは「かきねのかきねの まがりかど」だった。垣根かぁ、子供の頃住んでいた長屋はネズミモチの垣根で囲われていて、花が咲くとたくさんの蜜蜂が飛んできたものだ。
 さて、童謡の3番はなにも覚えていなかった。
「こがらし こがらし さむいみち」ではじまり、中盤は同じ歌詞で、最後が「そうだんしながら あるいてる」
相談しながら歩いてる、そうか、北風が吹く中、しもやけがもう出来てしまった寒い冬に、垣根の曲がり角を曲がって新しい路地の向こうが見える、そこに、たき火が見えた、ということなんだ。この主人公は一人ではない。童謡でもあり主人公は仮に小学生、低学年の女の子だとすると、女の子は友達と歩いてる。まる子ちゃんとたまちゃんみたいに。垣根の曲がり角を曲がりはじめてたき火を見つけた二人は、そのたき火に「当たって行こうよ!?」「そうしよう!」なんて相談をしながら近付いていく。3番の、相談しながら歩いてる、で急に場面が生き生きと浮かび上がりました。
 落葉焚きを住宅街の道で見かけるなんていまはないですね。