電車から見えた地下道を見に行く

 京浜急行線の子安駅横浜市)の改札は、京浜急行線線路とJR東日本の線路(東海道線横須賀線京浜東北線が通る線路)に挟まれていて、国道一号、今日であればそこは箱根駅伝が通過したはずだ、その一号に出るには京浜急行線の踏切を渡る必要があるし、JRの線路の向こう側に、JR横浜線大口駅の方に続く商店街に行くには、JR線路を地下道でくぐる必要がある。踏切か地下道か、どちらも使わずに行けるのは、下の写真の蕎麦屋さんの先に続く路地だが、ここは線路と線路に挟まれた「中州」のような街区で、路地の京浜急行線側には住宅が一列だけあるが、JR側は倉庫などが主のようだ。そして百メートルかもう少し行けば、京急とJRの線路が並走するように接近し、すなわち中洲のスペースが無くなるため、この中州は行き止まりになる。これは自分でも正しく覚えていることだという自信がないんだけど、村上春樹がデビューして数年の頃に、どこかの出版社が自社の文庫の宣伝のために文庫サイズのテイクフリーの宣伝月刊誌を出していて、そうそうin pocketだったような、そこに連載を持っていた・・・と思う。その連載に~あるいはその頃の別の雑誌だったかもしれないのだが~こういう線路と線路に囲まれた中州のような家に住む人の話を書いていた・・・気がする、が、こう書いていると自信がなくて村上春樹ではなかった可能性もあると思う。たしかその短い小説のなかで、鉄道会社がストをした静寂に包まれた日のことが書かれていた。まさに小説に出てくる、そういう場所だなと思う。

 JR線には通勤等でよく乗るから、この下の写真の地下道入り口が一瞬通り過ぎるのをよく見る。車窓写真でうまく撮ろうと思うが、行き過ぎる構造物をちゃんと写すのは難しい。通り過ぎるたびに、あの地下道が気になるなぁ・・・と思っていたので、今日、フイルムカメラとコンデジを持って行ってみた。こういう行動って長期連休っぽいですね。以前、十年くらい前には青春十八切符を買って、正月休みに浜松や吉原(静岡県)まで行ったものです。最近は青春十八切符は買わないからあまり遠くへは行かないけれど。

 よく晴れていました。上の写真は下の写真(これが私が車窓から見ていた地下道入り口)の入り口から地下道をくぐった反対口の地下道入り口です。上の写真の高架の下の店は、写真のもっと右に続いていて、昭和な感じのモーニングを出す喫茶店があったりでレトロな感じの町並み。上の写真の人たちのように、この地下道をこちら側から入って行く人が大勢いました。この方々の多くは、こうしてJRをくぐり、ついで京急の踏切も渡り、国道一号に箱根駅伝を見物に行く人だったようだ。選手たちが走り抜けるまであと40分くらいあるということだったので、私は待たずに商店街を横浜線大口駅の方へ歩くが、なんかなあ・・・駅伝を見れば良かったかなあ・・・という後ろ髪引かれる気分がありました。

 このあと実は18000歩ほど歩いたのですが、続きは後日。

 ところで大口の商店街には古いフイルムカメラを売っている店が二軒ありました。すごくたくさんの種類が置かれていて、値が張る機種はガラスケースに収めてあるけれど、数千円のものやジャンクはワゴンに無造作にざざざっと置かれていた。そのなかにブラックのミノルタSRT101を発見。千円札二枚ほどで買ってしまいました。なんかなあ・・・まだちゃんと写真を撮ることが出来るカメラが、多くはもう二度と使われない運命になったまま中古カメラの店に信じられないほど安価にずらりと並んでいるのを見るとちょっと救い出したくなるんですよ。ジャズ喫茶で何万枚のLPレコードが棚にぎっしり入っているのを見ても、レコードが回して回してと言っているように感じて悲しくなる。