茶の木の思い出

 2歳から15歳まで住んでいた戦前に建てられた木造平屋建ての二軒長屋は住居の広さが今でいう3Kで、50平米相当くらいだったが、庭は広くて、小さな瓢箪の形の池があり、チューリップや季節の花を植える花壇や、ボケや紫陽花や梅やいちぢくなどの低木がいくつもあり、そんな中に茶の木もあった。この写真は椿で茶ではないと思うが、写真を見ていたら、子供の頃の家にあった茶の木のことを思い出したから、なんとなく似ているだろうか?茶の花よりも、花のあとに硬い実が出来たと思う、その実のことをより覚えている。硬い外郭の内側にいくつか実が入っていて、まずはそれを取り出す。そのあとなにをして遊んだのか忘れたなあ。ただ取り出して満足して、もしかすると芽が出るかな?と植えたりしたのかな。茶の木はやはり椿科だそうです、いま調べました。

 1960年代70年代、おじさんたちは皆あたまにポマードを付けてしっかりと櫛で溶かして髪を整えていた。父もそうしていて、直径が7センチくらい高さが4センチくらいの瓶で緑色のラベルが貼られたポマードの瓶が洗面所にあったような微かな記憶があるけど、こんなのは正解確率10%程度のあやふやな記憶だ。

 でもここまで書いてちょっと調べたらYANAGIYAのポマードはラベルじゃないけど緑の蓋で、これだったんじゃないかな・・・

 ところがある日、たぶん父が誰かからいただいて、じゃあ使ってみようと思ったものなのか、椿油が置かれていたことがあった。いや、ポマードと椿油は二者択一じゃなくて、同時使用するものだったのか?・・・これはもう調べませんけどね。

 1970年代には渡辺貞夫がCMに登場していた資生堂のブラバスというブランドの男性化粧品にヘアトニックやヘアリキッドがあって、けっこうみな使っていた。もはやポマードではなかったけど、それでもだいたいの大人の男性は髪になにかを振りかけていた。うん、その前にはマンダムが人気だったな。私は、髪が細くてさらさらしていて量も多くはなかったからなにかを振りかけると、すぐに髪がぺしゃっとしてしまう。それでもう、なにかを振りかけるのを習慣にしたことがない。床屋に行って最後になにを振りかけるか?と聞かれて、そのたびに「なにもかけなくていい」と答えて、80年代90年代は「えっ!?めずらしや」という顔をされたものだったが、いつの間にか床屋の鏡の前に何種類もの男性用整髪剤のボトルがずらりと並ぶこともなくなり、いまや、理髪師は「なにもかけなくていいですね?」と確認するようになった。

 振りかけるとすれば、朝、髪が乱れていると寝ぐせ直しウォーターをシュシュッとかけるだけだ。

 というわけで椿の花からいろいろ思い出したこと、でした。