火を囲む

 思いのほか寒くなった春の曇りの午後、砂浜に集まって、火を囲んでいる男たちがいた。オレンジ色の炎がちらちらと見えていた。なにかをコンロで料理しているのか?そこまでは判らない。

 それをきっかけに、砂浜で焚火をしたことが、あっただろうか?と考える。あったような気がしないでもないが、はっきりとは覚えていない。後始末をやりやすく、後を汚さない、そんな焚火道具が最近はあるらしいが、詳しくはわからない。NHKのテレビ番組で延々と焚火の炎を写したものや、焚火を囲んではじめて会った人たちが話をはじめ、打ち解けていくようなものがあったなぁ。写真の彼らを見ていて、あぁ焚火(彼らは焚火ではないかもしれないが)を囲むような時間があるといいな、なんてちょっと憧れた。

 思い出したこと。30年ほど前の秋の日に、写真と同じ砂浜で、どんどん暮れて行く時刻に慌てながら、キャンプ用の小さななガスコンロに網を置いて、そのまえに自転車で江の島まで行って買ってきた蛤を焼いて、バッグに忍ばせてきたワインを飲んだことがあったな。友だちと3人で。それ以来、そんなこと、火を起こしたことなんてないかもしれない。彼らを見ながらちょっとそんなことをまたしてみたいと思った。

 焚火と言えば、ザ・バンドのLP「南十字星」のジャケットも思い出す。

 

南十字星(紙ジャケット仕様)

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