南風の日

 南風の強い日になった5月5日の休日。最高気温25℃、湿度20%、気持ちの良い一日。もしかすると一年のうちで一番気持ちの良い日なのかもしれない。

 午前、冬物のセーターやパンツ、ヒートテックのシャツやタイツを引き出しから取り出し、Tシャツはじめ夏物のパンツに入れ替える。合わせて、思い切ってけっこうたくさんの衣類を捨てた。まだまだ着ることができる衣類を捨てるのは、それはもちろんもったいない、もったいないと思うから捨てることがいけないことのように感じる。そうして首の周りが伸び切ったり、毛玉がたくさん付いたセーターを、何年ものあいだ捨てられずにいて、たくさん溜まっていた。今日は頑張って(笑)捨てました。十五年前に買ったグリーンのエディーバウアーのセーターを捨てるかどうか迷って捨てることとし、十年前に買ったバートンの青い山のイラストがプリントされた黒いTシャツは、いちど捨てる方に回したけれど、最後の最後に救い出した。

 午後になり、自転車に乗って茅ケ崎海岸まで行ってみる。強い南風が吹き、海面にはたくさんの白い三角波が立っている。眼鏡が、飛んできた潮によって気が付かないうちに曇っていて、ハンカチで拭きとると急に視界がくっきりした。砂塵が舞っているのを写し取ろうと、しゃがんで写真を撮ってみた(上の写真)。大きな波が次々に入って来るから、サーファーがたくさん海に出ていた。

 帰り道にカフェに立ち寄り、一時間と少し、カウンター席で読書をする。この店は入り口のすぐ横にかんきつ類の大きな木があり、前回に来たときには蕾がついていた。今日、自転車を停めてその木を見ると、白い花が付いている。花期の最後なのだろう、花のほとんどはもう散っていた。店主は寡黙(そう)な方で、一度も話したことがなかったが、今日は「玄関の横の木は金柑ですか?」と聞いてみた。すると、一呼吸を置いてから、店主が「夏みかんです」と答えてくれた。そのあとに店主の方が「厨房の窓を開けておくと店の中までいい香りがするのです」と付け加えた。なぜか、ちょっと嬉しかった。店内にはボサノバが小さな音で流れている。アントニオ・カルロス・ジョビンのウェイブが流れている。頼んだのは珈琲ではなく、今日は、アイスティーにした。