行ったことがないことが自慢

 飛行機は羽田を飛び立ち、都心上空を横切る前には、ディズニーランドとシーの上も通過した。ディズニーランドが開園したのは1983年で、私は20代の半ばだったわけだから、当然、友だちと何度も遊びに行った・・・というのが普通に当たり前の筈なのだが、なんとまぁ、数年前に姪の結婚式でランドだったかシーだったかのホテルに行ったことがあるだけで、後にも先にもそれ以外には一度も行ったことがない。まぁ屁理屈はいろいろあるんです。誰かが考えた張りぼての虚構に踊らされてどうする!みたいな若気の至り的拒否感とかね。早朝から出かける必要があるとか、どのアトラクションにも長時間並ぶなどの苦労や我慢を聞いて、行きたくないなぁと思ったものだ。それだけの価値があるとは思えなかったあまのじゃくな青年だった。いや、でもいまもその気持ちは変わっていない。ここまで来ると行ったことがないことが自慢だったりするが、アホですね。

 だけど少年だったころ家のモノクロテレビに映る週に一度のディズニーワールドだったかな、番組名はよく覚えていないけれど、あのテレビ番組はわくわくした。冒頭にウォルト・ディズニーがしゃべり今日の番組が「冒険」「未来」「開拓」「おとぎ」だったかな、四つの国のどこかから届けられるという、その日の番組内容を紹介するところから始まる。少年のわたしは、どうか「冒険の国」でありますように、せめて「未来の国」か「おとぎの国」でありますように・・・と、期待したものだった。「開拓の国」は少年のわたしにはちょっと内容が難しかったんだろう。

 むかしのことだからよく覚えていないけれど「冒険の国」からはアフリカの自然動物を紹介するような内容の回もあったんじゃないか?そしてそういうのが好きだったんだと思う・・・のだが・・・どうだったんだろう。

 60年代にはいわゆるテレビのゴールデンタイムに局を変えながら毎日映画を放送していたし、輸入した30分番組も多かった。「逃亡者」「タイムトンネル」「宇宙家族ロビンソン」「コンバット」などの連続ドラマや上記のディズニーランドなど。テレビ番組の構成も、時代を反映しているわけで、西欧諸国に追い付こうというわかりやすい気分の高度成長期に、輸入ドラマや映画をみんながこぞって観ることは、時代性からしてそういうのが当たり前だったのかもしれない。