写真展めぐり


 都内写真展めぐり
近藤篤展「ボール・ピープル」コニカミノルタプラザ http://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2014august/ball_people/index.html
・濱田祐史展「photograph]」POST http://post-books.info/news/2014/7/14/exhibition-photograph
・山本渉展「春/啓蟄YUMIKO CHIBA ASSOCIATES http://www.ycassociates.co.jp/jp/information/yamamoto_spring/
・津田直展「On The Mountain Path」916 http://www.gallery916.com/exhibition/naotsuda/

 山本渉展会場に置いてあったフライヤーに書かれた「コンセプト」から抜粋。
「「春/啓蟄」は、水とカラーフィルムを皮膚の代わりにして太陽の光と温度変化を捉える試みです。その内容を一言で言えば「水に浸した凍らせたフィルムで太陽を撮影した写真」ですが、写真は水の氷への体質変化に伴うフィルムの変形や、氷の紋様、露光中に溶けて流れる水の乱反射などの影響を受けて時間をかけて生成されます。また撮影はピンホールを用いており、レンズを通したイメージの光ではなく、穴から取り入れた太陽の光で凍ったフィルムを溶かしつつその熱源の太陽を写しています。」

 このギャラリーはマンションに二階の一室を改造してある小さなスペース。古い鉄製のドア(いかにも昭和40年代とか50年代の団地のドアみたいな重いドア)をガチャンっと開けて入ると誰もいない。スタッフが一人なにやらパソコンで業務をしているが顔を上げたのか上げないのか。位置からしても顔が見えないようになっている。上記の技術的なことと同時にその手法を選んだコンセプトを知らずに、作品を見始めた。これは結氷している川や湖に春の日が当たり、溶けかかっているそこをマクロレンズで撮ったものだろうか、と思う。写真展のタイトルが「春/啓蟄」であることは知っているうえでの想像である。南沙織の「女性」という曲を思い出す。♪雪解けのせせらぎが大好き、その優しさ、ときめき、暖かさ♪そのあとで会場に「参考展示」してあった4×5なのかなフイルムホルダーが置かれていて、これにフイルムと水を入れて凍らせたという説明があり、手法をなんとなく理解できた。こういう凍らせたフイルムホルダーを使ってピンホール写真で春の太陽を写す、という技術的な手法があり、その手法が「太陽の光と温度変化を捉える試み」というようにコンセプトとつなげるところ、こういうのにグッとくるという私は理科系人間だからなのだろうか。
 入って左の壁に並んだうちの一枚の全体に白い写真には、氷の偶然による溶けかかった形や光の入り方によるのだろう、小さなピンク色の点がいくつか入っていて、溶けかかった氷の描く線画(氷になんらかの境界が出来るのか?)とともに、なんだか真っ白なウサギのような文様を描いていて美しい。
 何度も何度も、小さな部屋の中をぐるぐると歩いて、鑑賞しました。(本展示は23日が最終日でした)